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奈良社会保険病院

病院の特色

 特徴は設立母体です。奈良社会保険病院は社会保険病院ですので、地域に密着した観点で作られています。この大和郡山地区では唯一の公的病院であり、市民病院的な地域医療の基幹病院であるところが特徴です。
 高度な専門医療というよりも幅ひろく地域のみなさんの要望に応えることが要求されます。

 

◆ 内科について

 内科は、患者数の約半分を受け持つ病院の基幹的な診療科です。より充実させていかなければいけないと考えています。消化器内科と循環器内科、2つの診療科で全ての患者さんを受け持っています。若い先生方には勉強になると思います。専門だけでなく、色々なところも診ていただかなくてはいけなくなりますので、いわゆる総合医、総合内科的なことが要求される環境です。患者さんの特徴としては、高齢者が多いです。

 消化器内科、消化器一般の治療が一番多いです。特に内視鏡、内視鏡の検査に関連する治療はこの規模の病院としてはかなり多い方だと思います。全国レベルの数字がでていたかと思います。消化器内科が内科の中心的な位置づけにあると思います。
 また、内視鏡だけでなくて肝臓治療も重視しています。副院長が肝胆の治療に熱心ですので超音波あるいは肝臓がんに対する焼灼療法もやっています。
 私は外科ですが、消化器内科ががんばってくれているのは外科医にとってもありがたいです。手術症例数が消化器内科医のレベルによって変わりますのでね。当院は外科とうまくいっていると思います。
 循環器内科、循環器の症例にはカテーテル治療を行っています。奈良県の中では症例の多い方で5番目位です。
 当院は、患者数に対して医師数が多くありませんが、看護師に助けられている部分があると思います。
 看護師の育成には特に力を入れています。社会保険グループは全社連の主導する研修制度が非常に整っています。認定看護師取得のコースもあり毎年8月から3月頃まで、全社連傘下の病院から研修センターに看護師が行きます。
 現在、当院の認定看護師は褥瘡を始め糖尿病、癌の疼痛などです。認定看護師の研修だけではなく、現場が必要とする事項で小規模な研修にも頻繁に行っています。
 もちろん地元の奈良看護協会とかの研修制度も利用させていただきますが一番の柱は全社連の研修です。全社連本部自体が研修に力を入れており全国から看護師が集まります。全社連の研修制度は、すばらしいと思います。
 また病院にとって研修制度の充実は看護師が病院を選ぶ魅力の一つになっていると思います。ここの病院ではきちっと研修ができると、入職の理由として教育システムがきっちりとしている点を挙げられる方も多いです。

 

◆ その他の診療科について

 その他のメインは外科でしょうね。さきほどの消化器内科が非常に充実していて内科と外科というのは車の両輪みたいなものですから疾患数も多いです。外科は私を含めて5人いますので腹部外科としてはたいていのことはできると思います。

 産科も特徴があると思います。
 年間530の分娩があり、県内では大変多い方です。
 奈良県は非常に産科医師が少なく分娩できる施設というのは本当に集約されて少なくなってきており、もちろん郡山市では当院だけです。地域の分娩の拠点であり住民の方に頼りにされていると思います。
 特徴的なのは助産師が非常に多いことです。助産師は県下で一番多く約30人います。
 もともと多くはなかったのですが、産婦人科医が少ない時期があり、当時の師長が医師不足を補うために提案し助産師外来及び院内助産院を始めました。
 院内助産院とは、正常分娩でリスクが少なく、助産師がケアできるケースを対象として、医師が立ち会うことがない分娩のシステムですが、6年ほど前から行っています。全国的にも反響を呼び、他府県からも見学に来るようになりました。こういうところで働きたいというような助産師がでてきまして、現在に至っています。なかなかそういうところはないと思います。従いまして、当院の産科は助産師さんの活動によって非常にユニークです。彼女たちも自分たちで色々診療することができ、やりがいをもってくれていると思います。

 その他、放射線科についてですが、250床位の規模の病院で放射線治療をできる病院はあまりないと思います。昔からリニアックを持っています。また温熱療法の設備もあります。つい最近まで奈良県で温熱療法ができるのは当院だけでした。
 我国の温熱療法の走りが京都大学の先代の放射線科教授ですが、研究も含めてすごく力を入れておられた方でした。当院に非常勤で来られた時に温熱療法を導入したと聞いています。温熱療法については、根強く希望する患者さんも多いです。大阪、和歌山からも来られます。取り入れている病院が少ないということもあり聞きつけて来られるようです。
癌の治療手段として一応一通りそろっています。化学療法も手術療法もそれと放射線治療と温熱療法とね。この様に一つの病院で集学的治療がすべて出来るというのは強みだと思います。

 

◆ 特殊外来

 乳腺、外来と私が担当している肝胆膵外来があります。
 乳腺外来は、月・水・金に診療を行っています。乳がんの患者は年々増えています。今の時代、患者さんの知識もすごく豊富になっています。乳がんの治療方法も昔と様変わりし高い専門性が要求されていると思います。

 外科外来は消化管疾患の症例数が圧倒的に多く、肝胆の症例数はあまり多いとは言えませんが、最近はかなり増えてきました。私が着任するまでは肝臓の大きな手術は行っていませんでした。私の専門ですので、この地域の方が遠くの大学病院に行かなくてもすむようにできればと思って始めました。今では、セカンドオピニオン的な患者さんも来ますし、肝胆の症例数はかなり増えました。
 この分野は専門性が高く、患者さんも大学志向になっていますが、当院は大学病院まで行く必要のないレベルにあると思っています。大学レベルで行っている肝胆の手術は大抵できますし、大阪の病院からも患者を引き受けたりもしています。この規模の病院としては患者さんの数はかなり多いと思います。

 

◆ 健康管理センター

 予防医学は全国の社会保険病院の設立の理念でした。設立時から健康管理センターを併設し、力を入れてきています。健康管理センターの看護師は全員が保健師の資格を有しており年間、2万1000人から2万2000人の受診者がいます。
 また、バス健診では各事業所を廻ります。主に県下ですが、大和郡山市だけでなく奈良市、生駒市、遠いところでは吉野地方などへの泊まりがけでの出張健診にも行きます。バス健診の割合は全体の半分弱位です。多いのは協会健保です。生活習慣病、人間ドック、企業の一般定期健診を行っています。特徴的なところでは、神社・お寺にも行っています。
 週に1回ですが、医師、検査技師などのスタッフがすべて女性で行うレディースドックも行っており女性の受診者に好評です。
 健診事業は、国の施策にも特定健診・保健指導等が入ってきましたので、より力を入れていかなければいけないと思っています。

 

2012.05.01掲載 (C)LinkStaff

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