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地域の全ての人に快適な環境を

運営・経営方針

1.運営・経営方針

 千手堂病院では「療養する人、支える人、働く人、地域の全ての人に快適な環境を創出します」を病院理念とし、「病を持つ人の治療、療養、生活を全人的に支えます」「支える人の不安や負担の解消に努めます」「働く人の生活を支え、研鑽を奨励します」「地域の健康づくりに貢献します」「健全で成長する財務経営を行います」との基本方針に基づいて、運営、経営を行っている。

 「設備投資を行えるだけの利益確保をしていくために、新規患者さんや利用者さんの獲得、患者さんや利用者さんの満足度向上、診療単価増額、人件費を除く経費の削減に取り組んでいます。また、私どもの職員は約100人いるのですが、全職員と半年に1回の面談を行い、職員の声を直接聞くことに努めています。医師の募集に関しては私の入職後に常勤で入職した人はいないので、現時点では定まった形式はありませんが、縁あってのことですし、可能性のある医師がいらっしゃれば、その方のご希望に添える形を考えています。」

2.地域連携

 初音院長に地域連携や医療連携で取り組んでいることを伺った。

 「当院は50床の療養病院です。2020年には患者層の変化や今後の動向を鑑み、10床を地域包括ケア病床に機能転換しました。急性期病院からより早期に受け入れ、リハビリや各種指導介入、周囲の環境の調整を行い、自宅や施設などの生活に戻すことに力を注いでいます。また、在宅診療も積極的に行っています。誤嚥性肺炎や急性腰痛など、在宅療養中に調子が悪くなった方も地域包括ケア病床に入院いただき、身体的、心理的、社会的な再調整を行って、再度生活に戻れるように取り組んでいます。一方、療養病床では人工呼吸器管理、経管栄養、中心静脈栄養などを行っている医療必要度の高い重症の患者さんを中心に受け入れています。中には院内で最期を迎える方もおられますので、人生の最終段階を穏やかに過ごせるように、緩和ケアやACPに取り組んでいます。院内には通所リハビリテーション、隣地に居宅介護支援事業所を有しています。退院後も継続して支援を続けられるように、当法人内だけではなく、外部の事業所ともカンファレンスを行ったり、スマホの共有アプリなどを使用して、連携しています。小さな病院ではありますが、複数の機能、役割を有しており、『岐阜のど真ん中の地域包括ケア病院』、地域多機能病院、コミュニティホスピタルとして、岐阜市中心部の皆様に貢献したいと考えています。」

3.今後の展開

 当院は循環器科診療に重点を置いてきましたが、心臓リハビリテーションを立ち上げてからは慢性心不全を始めとした循環器疾患の慢性期診療に注力します。心疾患は我が国の死亡原因の2位であり、今なお増加傾向にあります。また、高齢化の進行とともに心不全パンデミックと言われる心不全患者さんの爆発的な増加が予想されています。したがって、全ての心不全患者さんを急性期病院が診療することは不可能ですし、その必要もありません。年齢、病状、社会背景などから個々の患者さんに合った機能の医療機関を選択することが求められます。その中で、当院のような地域病院では治療のみを最優先するのではなく、人生の終わり方も含めた生活全体をフォローしていかなくてはいけません。これは心不全のみならず、慢性疾患や悪性疾患を持つ方全てに当てはまります。当院のそのほかの強みとして、人工呼吸器や中心静脈栄養、胃瘻などのある重症患者さんを丁寧に診る、看ることができることが挙げられます。これらの患者さんに対し、医療の必要度が高い間は質の高い入院医療を提供し、状態が安定して医療の必要度が下がれば、綿密な準備をして生活の場に帰すことが地域での当院の役割です。その役割を果たすために、入院医療、外来医療、在宅医療、介護事業それぞれを発展させ、有機的に結合させたいと考えています。

 経営資源の4要素はヒト、モノ、カネ、情報です。ヒトに関しては当院の理念や基本方針を理解、共有し、病院の発展とともに自分自身を成長させることのできる人づくりを目指します。そこで、教育体制の整備、遣り甲斐の持てる風土づくり、評価制度の確立などを行います。

 モノに関しては病院の建物自体が老朽化しているので、修繕費が増大しています。このため、建物を2022年までに新築移転し、療養環境、労働環境を改善します。また、建て替え以前に訪問看護ステーションを設立し、建て替え後2年以内には在宅クリニックや在宅ケアセンターを設立し、訪問リハビリや訪問栄養指導なども含めた在宅医療を包括的に提供していきます。地域の方が要介護状態になることを予防し、健康寿命を伸ばすために、包括支援センター事業も検討しています。

 カネに関してはムリ、ムダ、ムラを廃し、業務効率を上げて、利益を伸ばします。地域包括ケア病床への転換により、入院調整、退院調整の連携を強化し、入院患者さんの確保、適正な在院日数の検討や達成、在宅復帰率の向上を目指し、入院収益を改善します。

 情報に関しては当院には単独部署も多く、ほかの医療機関での経験が少ない人もいるので、周囲の状況や情報を十分に収集できていないことがあります。これからは周囲の情報、特に標準的な医療や最新の医療事情などを意識的に収集する一方で、当院の強みや魅力などを積極的に外部に発信していくことも重要だと認識しています。

2021.07.01 掲載 ©LinkStaff

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