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優しさのあふれる病院をめざして
病院の特徴
1.内科
内科の診療領域は幅広く、日常的な疾患から生活習慣病、がんなどの悪性疾患、血液疾患全般、骨髄移植治療、骨髄バンク、腎臓疾患全般、血液透析、呼吸器疾患全般、睡眠時無呼吸症候群、糖尿病、外来でのインシュリン導入などもカバーしている。
「地域の基幹病院ですし、合併症のある高齢の患者さんが多いので、よろず屋のように診療しています。がんの専門病院などでは透析の患者さんや心臓に合併症のある患者さんを受けないこともあり、ピュアながん患者さんに特化していますが、当院は幅広く診ていることが特徴です。最近では循環器が充実しており、虚血性心疾患、心不全、不整脈、弁膜症、下肢閉塞性動脈硬化症などの診療を行っています。またフットケア外来も開設しています。」
以下は診療科ではなく、機能別に特徴を挙げていく。
2.三次救急
深谷赤十字病院の救命救急センターでは年間約4000件の救急車を受け入れている。このうち約半数が重症であり、全国的にも高い数字となっている。
「東京都内だと車がスピードを出さないので交通事故は少ないですし、工場も少ないので、工場事故もあまりありません。しかし、このあたりは高速道路があり、工場も多いので、多発外傷や高エネルギー外傷が多いのです。当院の金子直之副院長は日本外傷学会の理事を務めているほどのエキスパートなので、金子副院長が着任してからは多くの外傷の患者さんを診てきました。」
救急診療科以外の診療科も救急診療に携わっている。
「生命の危機を脅かす心疾患や脳疾患はそれぞれの診療科で診ています。ステント内血栓溶解療法などに循環器科と脳神経外科が協力して取り組んでいます。循環器科も24時間体制を作り、カテーテル治療やPCIを充実させています。循環器科の関口誠副部長はカテーテルの専門家で、いわゆるスーパードクターのような存在です。海外の病院にも指導に行っていますし、当院もライブサージェリーセミナーの会場になっています。また、消化器科でも緊急内視鏡治療による消化管出血止血術を積極的に行っています。」
3.がん診療
深谷赤十字病院は地域がん診療連携拠点病院であり、地域でのがん診療の連携や推進に力を入れている。消化器科では「胃がん死ゼロ、大腸がん死ゼロ」を目標に掲げるなど、それぞれの診療科でがん診療に取り組んでいる。
「地域がん診療連携拠点病院の要件を満たすためには手術、化学療法、放射線治療の3大療法を充実させないといけません。当院はがんの専門病院ほどの件数はありませんが、高齢者、合併症のある方、大学病院やがんの専門病院に社会的な事情で行けない方などのセーフティネットの役割を果たしています。高齢者ががんになったときに、皆が皆、都心の大病院にかかれないのですから、いわゆる地元の病院が大切なのです。したがって、都心の病院と地方の病院では患者さんの平均年齢も大きく違いますし、初診時のステージも全く違いますが、当院はそうした中でも良好な成績を目指しています。」
2019年には緩和ケア病棟も新設した。
「以前は都心の病院で抗がん剤治療を終えた患者さんが地元に帰ってきたときに、当院の外来で診ていたのですが、地域がん診療連携拠点病院の要件として緩和ケアが重要視されていることもあり、当院でも緩和ケア病棟を作ることにしました。作ってみて分かったことですが、長期入院後に亡くなる患者さんばかりではなく、ご自宅に戻られる患者さんや、退院後に短期で戻ってこられる患者さんが意外に多く、回転率が高いのです。平均在院日数は2週間でしょうか。したがって、緩和ケア病棟は決してお看取りの場所ではありません。ご家族も安易に入院させているわけではなく、あくまでも患者さんご本人が望む形をとっています。もちろん、最後は症状が悪化しますが、それまでは痛みをとる、家に帰るなどの目標を設定し、緩和ケア病棟の本来のあり方を実現できていると思います。」
4.周産期医療
深谷赤十字病院は地域周産期母子医療センターの指定も受けている。しかし、このところ、分娩数が減少している。
「周産期医療のメインは早産です。以前は28週でも扱っていたのですが、今は32週から34週がほとんどで、帝王切開率が高いですね。早い週齢をどこまで診られるかというのは小児科医がどれだけいるのかにかかってきます。今は3人体制ですので、未熟児まで診るのは大変です。そのため、埼玉県立小児医療センターに送ることもあります。埼玉県全体で小児科医が足りないのですが、何とかこの地域で完結させたいと考えています。周産期医療のニーズは同じく政策医療の三次救急やがん診療ほど高くはありませんが、担わなくてはいけないものです。地域の公的な病院として、不採算でも担っていくつもりです。」
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