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時代の要請と理念の調和
運営・経営方針
1.運営・経営方針
自治医科大学附属病院では働き方改革を進めるにあたり、変形労働制を採った。2020年2月に全面的に導入を行う。
「変形労働制のもとで、院内での勤務を週4日にしています。週1日は外勤に行き、土曜日、日曜日は休日です。当然、手術や当直などでの時間外手当も支払います。若手は1日8時間勤務では仕事が終わらないのですが、10時間あれば終わります。そのため、1時間休憩で11時間の拘束にしています。これまでは院長より年収のある若手医師もいましたが、そうした勾配の正常化も図っているところです。消化器外科では7時30分から18時30分までの勤務時間ですが、努力すればできるものです。目標は年間の院内での勤務時間を720時間にすることですが、変形労働制にしてから出退勤をタイムカードで管理するなど、グレーゾーンがなくなり、クリアでやりやすくなりました。当院の医師は外部の病院で当直することもありますが、これを引き上げてしまうと地域医療が崩壊しますので、そこは引かず、いかに労働時間を削減するかが課題です。一方で、研鑽や研究には手当を出しています。」
自治医科大学附属病院ではこのほかにも改善を行い、経営努力を続けている。
「効率性の見直しを行ってきました。その結果、以前はDPCの旧I群の病院の中で機能評価係数が10位ぐらいでしたが、最近では4位となっています。」
2.地域連携
自治医科大学附属病院で取り組んでいる地域連携について、佐田院長に伺った。
「患者サポートセンターを開設して、3年が経ちました。それまでは地域連携部だったのですが、患者サポートセンターにすることで、人員を多く配置しました。主な仕事は入退院支援ですが、ここで病歴をとる看護師だけで20人以上います。退院支援については連携病院との関係を深め、草の根運動のように地道に活動しています。最近はスムーズに進むようになり、当院の平均在院日数の短縮にも繋がっています。現在の平均在院日数は精神科を含めて13.5日、精神科以外の診療科では12日台となっています。これは退院支援の充実のお蔭ですね。」
3.今後の展開
新館の南棟が完成して、高度急性期医療がますます充実してきましたが、栃木県は2045年頃まで医療需要が増え続けると予想されていますので、当院はその受け皿になっていかないといけません。現在、栃木県南部はもちろん、栃木県北部や茨城県西部からも来ていただけるように準備しているところです。自治医科大学を卒業した医師は全国の医療を支えていますので、病院としても連携を進めているところです。茨城県筑西市の医療は筑波大学と共同で支援していますし、常陸大宮済生会病院は当院の連携病院でもあります。今後は医療圏をより広げていきたいですね。大学病院の役割をより自覚して、地域全体の医療を底上げしたいと考えています。
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