病院の特徴
1.整形外科
大腿骨近位部骨折に関して、名古屋市ではトップクラスの患者数を誇る診療科である。
「当院の整形外科医は以前から内科医に次いで多く歴代の院長の中に整形外科医もいます。最近では転倒による骨折、特に高齢者の大腿骨近位部骨折に力を入れています。現在副院長以下4人の医師体制ですから様々なことに手を出せません。ホットラインを作り、消防隊の協力も得て、『外傷骨折、高齢者の骨折はうちだよ』というイメージでアドバルーンを上げています。整形外科医のうちの一人は救急の専門医でもあります。この5年間で1.5倍ほどの患者数になりました。」
2.内科
数年前は1人になってしまった内科も現在は7人体制になっている。
「私が来るまでは基幹病院という認識が強すぎたように思います。当院の近隣には3つの大規模病院や特定機能病院があり、高度急性期の医療を終えたポストアキュートを診る役割と在宅や療養の患者さんの心不全、肺炎、食べられない、熱が出たといったサブアキュートを診る役割を担うべきです。内科医には救急を全部受けろというのではなく、高齢者の二次救急のような、当院でできることを確実に受けてねとお願いしています。医師数は限られているので、疲れ果てるのはよくありません。リクルートのときには、消化器や呼吸器等の専門診療だけを診たいという人ではなく、高齢者にコモンな疾患やポストアキュートの患者さん、あるいはがんの緩和医療なども診ますというホスピタリストを当院は求めていると説明しています。内科は現在整形外科と並ぶ、大きな柱に成長しました。」
3.NICU(周産期医療)
設立時から力を入れてきたのが周産期医療で、現在も年間400件ほどの分娩数がある。
「この地域の方々の多くが当院で産まれ、成長して自分の子どももまた当院でお産するというように綿々と続いてきたのです。当院は2014年地域周産期母子医療センターとなりました。産科に関してはどこも医師不足のため24時間体制の維持は大変です。近隣には正常の分娩を扱うクリニックが増加していますが、密な連携を図っています。当院のNICUは基幹施設の役割もありますが、総合周産期母子医療センターをもつ名古屋市立大学病院や名古屋第二赤十字病院がありますから、ベッド数が足りないときには比較的軽症の患者さんを当院で診るという役割があります。地域において当院は補完的な存在であり、いわばお助け隊として重宝されています。感染症の患者さんがいる場合、当院の隔離個室で診ることもあります。ただ、数が読めないので、経営上は辛いですね(笑)。」
周産期に限らず女性医師が多いことも特徴だ。
「女性医師に優しい病院になろうということで、院内保育所を持っています。保育所は以前から近隣の住居を借りて運営してきましたが、2018年院内に保育所を開設し、看護師ばかりでなく医師を含めた職員の利用を可能にしています。私がリクルートした内科医もほとんど女性です。女性医師は人当たりが優しいですから、高齢の患者さんには特に喜ばれていますね。」
4.緩和ケア科
名古屋市やその周辺には緩和ケア病棟が少なく、4病院で100床未満だと言われている。
「当院の緩和ケア病棟は自院以外からの紹介患者さんが殆どで、環境の変化に加えてギアチェンジ途上の患者さんや心理的・社会的問題を抱えた患者さんもいらっしゃるので、対応する職員の確保が課題です。専従医師と現場スタッフの考え方の相違から衝突もありました。1年ほど前から病棟専従医師ではなく、内科医と泌尿器科医がそれぞれの専門を持ったまま、ホスピスの患者を診るという方式にしました。もう一つのフィールドという感覚で診ているのが功を奏しているようで、トラブルもなく、うまくいっています。これからも複数医師の体制で進めていくつもりです。」
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