あえて「麻酔科医は自分ひとり」の病院を選んだ私の転職
フリーの麻酔科医が常勤先を探し始めるまで
私は38歳の麻酔科医です。医局を離れてフリーの立場で働いてきましたが、腰を据えて働ける常勤先を探そうと決め、イードクターのサイトから問い合わせのメールを送りました。すぐに丁寧なお電話をいただき、後日面談へ。髭を蓄えたがっしり体型の私は、初対面では医師に見えなかったかもしれません。それでも生い立ちや趣味の雑談から始めてくださったおかげで、緊張は自然とほぐれていきました。その日は勤務エリアや給与、当直対応の可否といった希望を一通りお伝えして終了。私のこだわりはただ一つ、「麻酔科常勤医が自分ひとりの病院」で働くことでした。
意外に見つからない「1人常勤」の求人
条件はさほど難しくないはず――私もコンサルタントの方も、最初はそう考えていたと思います。ところが、いざ探し始めると合致する求人がなかなか見つかりません。オペ数の多い病院には当然のように複数の麻酔科常勤医が在籍し、オペ数がそこそこの病院は非常勤医のローテートで回っていて、常勤を雇うまでもない。「1人常勤」という条件そのものが最大のネックになっていたのです。いくつかご提案いただいた求人も、通勤距離やオンコール体制、給与面が合わずに見送りが続き、面接まで進めた病院は1件もありませんでした。求人探しは想像以上に困難を極めていきました。
「なぜ1人勤務を?」――私が打ち明けた本当の理由
二度目の面談で、「どうして1人常勤体制の職場をご希望なのですか」と尋ねられ、私は前職での苦い経験を打ち明けました。人間関係が苦手なわけでは決してありません。整形外科メインだった前の病院には麻酔科常勤医が7名おり、私以外は皆40代の先輩でした。部長・副部長・医長のポストを巡って互いの足を引っ張り合い、理事長にはご機嫌を伺う。小さな麻酔科の中にまで派閥ができ、どこかに属さなければならない空気さえある。何のために医局を出てフリーになったのか分からない――それが、あえて1人勤務を望む私の本音でした。
ダメもとの一本の確認電話から生まれた縁
理由を話して以降、コンサルタントの方は「必ず1人常勤で働ける病院を探しましょう」と本気で動いてくださいました。そんなある日、150床クラスのB病院から麻酔科常勤医の退職に伴う募集が出ました。規模からすれば複数在籍の中での補充と思われましたが、ダメもとで確認していただくと、「常勤医が不在になり、緊急で麻酔科常勤医を探している」との返答。まさに探し求めていた1人常勤体制でした。ただ一つのネックは、給与が希望より低かったこと。私は「とりあえず見学だけでも」と、正直それほど気乗りしないまま面接に向かうことにしました。
給与よりも職場環境――B病院に決めた理由
面接は終始和やかに進み、事前に抱いていたイメージより思いのほか良い病院でした。後日、「B病院でお決めになられてはいかがでしょうか」と背中を押していただいたとき、私の答えは決まっていました。「B病院でお世話になりたい」。前職での経験から、私が最も重視したのは給与ではなく職場環境です。今は派閥も出世争いもない環境で、麻酔科医としての仕事だけに集中できる毎日を送っています。条件の数字には表れない事情まで汲み取り、最後まで諦めずに探し続けてくださったコンサルタントの方には、心から感謝しています。