放射線科専門医になるための試験とは
放射線科は医師の中でも特に専門性が問われる分野です。医師としての知識だけでなく、検査を行う特殊な機器に対しての理解も必要です。ここでは放射線科医の仕事内容、放射線科専門医の試験内容などについて解説を行っていきます。
放射線科医の仕事内容
放射線科医の仕事内容は大きくわけると3種類です。まず「画像診断」です。画像診断は放射線科医のメインともいえる重要な仕事です。CTスキャン、血管造影、超音波検査などさまざまな画像検査を行い、患者さんの状態や病状を正確にチェックします。複数の画像情報を元に客観的な病状判断を行うのは高いスキルを要します。優秀な放射線科医のニーズは世界レベルで増えている状況といえるでしょう。
次に「IVR」です。IVRとは放射線治療の中でも新しい部類に入る「低侵襲治療」のことを指します。低侵襲治療は患者さんの入院期間が短くなるだけでなく、手術時の負担も少ないので放射線科医にとって必須ともいえる技術になりつつあります。
最後に「放射線治療」です。放射線治療とは放射線の作用を使い病気の治療をおこなうアプローチです。病気によっては手術よりも有効な場合もあります。がんの科学療法が特に有名でがん治療にもっとも効果の期待できる治療のひとつとなっています。
放射線医師の仕事内容は放射線技師と混合されがちですが、放射線技師はCTスキャンなど機器の取り扱いのプロフェッショナルです。放射線医師が機器を使用することもありますが、基本的には放射線技師に撮影を任せることが多いです。放射線医師は放射線技師が撮影した画像を確認して診察をしたり、放射線治療の計画を立てたりします。
放射線科医専門医になるためには
放射線科専門医になるためにはまず放射線科医を目指す必要があります。国が認めた医学部、医科大学を卒業し国家資格の医師免許取得を目指しましょう。医師免許を取得後、各専門分野の研修を約5年程度受け、卒後6年目の時点で放射線科専門医認定試験を受ける資格を得ます。この試験に合格すれば放射線科専門医の道が開けることになります。
放射線科医は医師免許を持っているだけでなれるものではなく、放射線診断学、放射線治療学などの専門知識を持っていなければなりません。患者さんに対して大きな手術をする機会は減少傾向にあり、その代わりとして画像診断技術を利用した低侵襲な治療が選ばれることが増えています。放射線照射治療は手術をしませんので、患者への負担が軽い治療法として地位を確立しつつあるのです。ガンなど治療するのが難しい病気になってしまっても外科手術ができない患者さんも中にはいますが、そのような場合でも放射線治療は力を発揮できます。
放射線治療はSPECT、PETなど患者さんからするとなじみの薄い検査もよくありますので、専門的なことをわかりやすく説明して患者さんを安心させるスキルも放射線科専門医には必要になります。また放射線治療は、技術が日進月歩な分野ですので常に勉強を継続し最新情報を逃さない努力も重要となります。
放射線科専門医の試験内容
放射線専門医認定試験は放射線診療全般、および放射線基礎医学の基礎的事項を理解していることが前提となります。それに加え画像診断に対する深い専門知識と放射線科医や他診療科医師を指導できる能力も問われることになります。
日本医学放射線学会は認定医試験、専門医試験の二段階試験になっており、放射線専門医認定試験は専門医試験に該当するものです。試験の内容は筆記試験と口頭試験が中心になります。問題画像が出題され、それに対する診断、治療方法、必要になる検査などを解答するスタイルです。たくさんの症例を経験していなければ、解くのが難しい問題も多いでしょう。勉強の方法は文献を調べつつ、過去問を解く方法が一般的ですが、同期で勉強会を開くのも良い刺激になるでしょう。わからないことは医局の先生に質問しにいく積極性も欲しいところです。