ドクター転職ショートストーリー

原点回帰(下)

2015年05月01日 コンサルタントN

面談の流れとしては、検討頂いた2件の病院との面談を行ったあとにA病院との面談という流れでした。
1件目、2件目の病院との面談を行い、先生に感想を伺うと、思いの他先生の希望に副う病院であったそうで、院内設備、患者層、診療方針などといった点でも問題なく、先方としても、N先生のやりたい診療を尊重し、勤務頂きたいという回答でした。先生としては、前向きに検討といった感じでした。全ての病院と面談をしないことには答えが出せないからです。

そして、3件目の病院、A病院との面談の日が訪れました。

A病院に面談に向かうと、事務長が出迎えてくれ、理事長同席のもと面談が始まった。
通常の面談であれば、先生の経歴や診療実績などについて先方から先生に質問があり、次に先生から質問があり、という流れである。しかし、今回の面談では、A病院とN先生が旧縁ということもあり、思い出話から始まったのである。
N先生がA病院で勤務していた時の話し、A病院を離れてからのA病院の状況やN先生の状況など。非常に明るく温かい雰囲気の会話が飛び交っていた。
N先生としては、自身がA病院を離れてからの状況が気になっていたので、現状を聞き安堵したようだった。
思い出話も終わり、具体的な話しに差し掛かる頃、A病院の理事長からとある言葉を頂いた。
それは「もう一度先生のお力をお貸しください。」という言葉でした。

N先生としては、この言葉は非常に嬉しかったそうだ。実を言うと、A病院を離れてからは40年程経っており、以前勤めていたとは言え、断られるのではないかという不安が大きかったらしく、その不安をかき消す一言を理事長から頂け、笑顔で溢れていました。

N先生の条件は全て考慮頂け、待遇も文句なし。先方からの要望は、もう一度力を貸して欲しいということだけでした。面談を行うまでに、N先生と一緒に勤務したことのあるコメディカルの方や他の医師たちと相談をしていると、N先生に戻ってきてほしいという声が多くあったそうです。

その日は、面談を終え病院を後にし、N先生と帰りの車中で今回の面談について振り返っていたところ、私としては、今回の転職に携われていることに非常に感激していること、そしてこのような話はそうそうない。縁のある病院で勤めていくことがN先生の医師としての人生を送っていく上で大切なことではないのか、さらに、診療方針や病院のスタイルなどは当時から40年程前から変わっていなかったので、先生の方針なども叶うのではないかと伝えた。N先生としても、思いがけない形で話が進みびっくりしている反面嬉しいという気持ちが大きく、第一候補として検討したいとのことでした。
その日は、先生から明確な回答を頂かず解散した。

それから1週間程して、N先生から連絡があった。A病院でもう1度頑張りたい、自身の原点であるA病院を最後の病院として勤務したいという内容であった。

回答を頂き、すぐにA病院へ連絡を取り、入職の手続きを進めていった。今回の入職に当たり、N先生の自宅からの通勤が難しい距離であったので、宿舎を借りたりもしなければならなかったので、すぐにそちらの手配にも取り掛かりました。

面談から1ヶ月後、N先生はA病院へと無事入職されました。

入職日前日、先生と電話をしている際に「原点回帰。最後の転職として、自身を育て上げてくれたA病院で、初心に返り勤務し医師としての役割、人生を全うしたい。ありがとう。」という言葉を頂けた。
今回の入職は、N先生の昔の実績、人柄、縁がもたらした結果です。先生にもお伝えしましたが、このような話はほぼありません。このような縁のある転職に携われたことは私のコンサルタントとしての人生において最初で最後かもしれないと思い、このような案件に携われたことは私の宝であり、N先生とA病院には感謝の気持ちでいっぱいになりました。

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