ドクター転職ショートストーリー

生涯現役!!(下)

2015年03月01日 コンサルタントK

その後、なかなかK先生を受け入れてもらえるクリニックが見つからないまま3ヶ月が経過した10月下旬のある日、以前K先生をご紹介したものの、お断りを受けたクリニックの副理事長先生から「以前紹介を受けた70代の医師は既にどこかに決まってしまいまわれましたか?」というお問い合わせが入りました。

お話しを聞くと、現在在籍中の医師が11月いっぱいで退職するがなかなか後任が見つからないという差し迫った状況のようでした。このクリニックは初診時の問診を大切にされているところで、以前K先生のご経験が存分に発揮でき、最適と思い打診をしましたが、年齢を理由にお断りを受けていました。今回は状況が状況なだけに至急K先生に連絡を取り、先生もご興味を示しましたので面接に足を運びました。

副理事長先生から業務内容の説明を受け、先生からも何点かご質問が出され、終始和やかな雰囲気で面接は終わりました。今回も副理事長先生から「是非いらしてください。」とお誘いを受けましたが、前回同様「家族と相談した上で1週間後に返事します。」とのことでした。

ただ今回は前回のようにご辞退される雰囲気はなく、場所的にもK先生のご自宅から30分圏内のターミナル駅近くにあるクリニックでしたので、大きな不安はありませんでした。

そして1週間後、K先生から「御世話になります。」という御返事をいただきました。ようやくK先生がまたご勤務できる場所が見つかったといううれしさとともに、ほっとした気持ちに満たされました。

その後、事務的な手続きを経て、1か月後ご勤務を開始されました。

初勤務日の夜、K先生に状況をお聞きしようとご連絡を入れましたところ、電話口からK先生のやや上ずり気味の声が聞こえてきました。色々と私に気になる点をおっしゃっていましたが、その口調は久しぶりに外来を診られて、非常に楽しかったという感じがひしひしと伝わってきました。そして、以前院長をされていた血が騒いだのか、今後患者を増やすためにああしたい、ですとか、何々をすればもっと患者が増えると思う、ですとか非常に熱い口調で私にお話しされました。

時間を見ると、優に30分以上が経過していました。時間を忘れるくらいに熱く語るK先生の声を聞いてこちらもうれしくなりました。

自分の好きな事が出来るという喜びは、年齢に関係なく、いくつになっても同じように感じられるのだと改めて感じました。

私にとっては忘れる事の出来ないK先生との出会い、約半年間にわたるお手伝いでした。

どの世界でもそうですが、けっして年齢で人を判断してはいけないということを非常に強く感じたと同時に、今後医療機関には年齢で判断せず、一度ご本人とお会いしてから採否をお決めくださいと自信を持って強く申し出できる経験をさせていただいたK先生との出会いでした。

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