ドクター転職ショートストーリー

最後の決意(下)

2013年08月01日 コンサルタントT

A先生からの連絡は「直接話が伺えるようであれば、面接の日程調整をして欲しい」という内容だった。
早速、I病院に連絡を入れ、面接の意向があった事を伝えると、院長先生から「是非お会いしたい」という返事を頂けた。

I病院の院長先生はA先生の後輩にあたり、面接時にはA先生から共通の話題が出た為、とても和やかな雰囲気で面接は終わった。後日、A先生にご意向を確認すると「院長先生のお人柄や、働きやすい環境であることはわかった」と話されていたが、面接時に細かい労働条件の説明がなかったため、少々不満を持たれていた。入職日や労働条件についてI病院へ何度か確認の連絡を入れたが、法人内での調整がうまく行かず、時間だけが過ぎて行った。面接の日から10日後、A先生から「I病院の交渉に時間が掛かりすぎているので、その間に他の病院にも一度行ってみようと思っています」という連絡があった。そこで、あらかじめ求人を確認していたS病院をすすめた。

S病院はI病院に比べA先生のご自宅から離れていたが、指定医を急募で探されている状況で、そして院長先生がA先生と同門であることをご説明すると、直接話を聞いてみようと仰って頂き、S病院もすぐに面接の機会を持って下さった。

そしてS病院との面接の日、院長先生とA先生は先輩方のお話や、大学時代の思い出話などで盛り上がり、すっかり意気投合された。また同じ先輩方から刺激を受け、これまでお仕事を続けられている経緯が似ていることからか、仕事に対する考え方や、姿勢についても同じ意見だった。さらに、A先生が裁判所の鑑定医の資格を目指して現在も勉強を続けられ、夏にはセミナーを受講する為、病院での勤務を休まなければならない状況について院長先生へ意向を伝えると「是非頑張って下さい」と快諾して下さった。その他、労働条件の詳細について直接院長先生からA先生にご説明され「出来れば土曜日も半日A先生に勤務をお願いできないか」という相談にも、A先生は前向きに検討しますと返答されていた。具体的な仕事の内容や、受け持ちの患者の様子、使用している薬の種類、カルテ等の説明もあり、直ぐにでも現場に入り仕事が出来る環境が整っていることを確認されていた。

帰り際、A先生のご意向を伺うと、「入職についてはS病院を優先に考えたい」とのことだった。また、病院から相談のあった土曜日の勤務については「どうしても困っているという状況であれば勤務が増えても構わない」と仰って頂いた。

A先生を見送った後、S病院に戻ると「ぜひA先生を副院長としてお迎えしたいので、A先生のご意向を確認して欲しい」と依頼を受けた。すぐA先生に連絡を入れ、内容をお伝えすると「そのような待遇で考えて頂けているのであれば、是非、院長先生と一緒に盛り上げたいと思っていますので、話を進めて下さい」とその日のうちに双方合意となった。

次の日、I病院から入職時期は10月1日でお願いしたいという連絡が入ったが、A先生はS病院に入職を決められていた為、辞退する事になった。

S病院との勤務条件や、入職日を調整し、A先生のご自宅へ契約書をお届けにあがった。A先生の勤務条件は副院長として週に4.5日勤務で、年俸は1,520万円。結果として半日増える事になったが「医師としての最後をどのように迎えようか、2度に渡る面接を重ねながら色々考えたが、せっかく孫が医者になる時は、やはり身近な存在としてずっと手本でありたいし、副院長として迎えてくれるS病院側の配慮から、今回の転職を決心した」と改めてA先生から直接S病院へご入職を決意されたお気持ちをお伺いした時は、本当にほっとした気持ちになった。

少しでもA先生のご希望に添う形で転職をという想いで、最後まで担当させて頂いた事が出来た事、またA先生の大事な決断の時に、仕事を通じて関わることが出来たことに喜びを感じた。

これからも一人一人の先生方との出会いや、医療機関との出会いに感謝しながら、ただ転職のお手伝いをする訳ではなく、これまでの人生や価値観、ご家族への想い、転職をお考えになったきっかけなど、一つ一つの背景にも寄り添いながら今後も取り組んで行きたいと思う。

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