ドクター転職ショートストーリー

医局からの転身(上)

2013年04月12日 コンサルタントK

7月初旬、過去にご登録頂いていたS先生へ、久しぶりに連絡を入れた。以前は何度か常勤先のご案内を電話でやり取りをさせて頂いたのだが、当時お勤めされていた医療機関が忙しく、その後1年程連絡が途絶えていた。
S先生に現状をお伺いすると「将来のことは今でも考えています。もちろん転職を検討していますよ」と今でも常勤先を変える考えでいらっしゃった。S先生は40歳代の整形外科医。現在は医局からの派遣で、約200床のケアミックス型の病院で勤務されていた。S先生の常勤先を変えたい理由は、約20年間を出身大学の医局に属し、医局から派遣される医療機関での勤務に従事してこられたが「医局の縛りへの疲弊や、ご家族との将来的な展望を持ちたい」と、1年前と変わってはいなかった。

そこで、勤務希望の確認や、S先生の現状を詳しくお伺いする為、面談の依頼をしたところ、 お忙しいスケジュールにも関わらず、快諾して下さった。

そして1週間後、約束の場所で面談を行った。S先生は、実に物腰の柔らかい印象で、口調も優しく、多くの医療機関で求められる「人間味あふれる」先生であった。

S先生の、近況やお考えを把握する為、これまでのご経験や家族構成、今後のビジョンなど様々なことを伺った。S先生のご希望は、自宅から車で1時間以内、落ち着いた労働環境、手術の勘を鈍らせない症例数、年俸1,600万円以上、週5日程度の勤務、当直はできれば避けたいという内容であった。そこで、事前に用意していた2件の求人をご紹介した。

1件目のA病院は、300床以上の病院で、S先生の希望地域ギリギリであったが、整形外科の常勤医が1名しかおられず、患者数の増加に伴い、常勤医の負担を少しでも緩和する為、積極的に募集活動をされていて、年俸1,800万円も相談可能とのことであった。

2件目のF病院は、200床ほどの病院だが、A病院と同等の医療設備が整っている。しかし、整形外科部長が退職されるとの事で、急遽募集されていた。こちらも年俸1,800万円以上も相談可との事であった。

S先生の考えを確認しながら、2件を比較しつつ説明する中で、年俸や通勤距離の差はそれほど問題なく、やはり働きやすい労働環境、つまりご自身を本当に必要としてくれる医療機関で働きたい、とのお気持ちが強いことが分かった。

そこで、S先生がそれぞれに確認したいポイントをお尋ねし、各医療機関へ正確な情報を確認・交渉した上で改めて報告することを約束し、S先生が重視されている、働きやすい環境について、ご自身で確認して安心して頂けるよう、気軽な気持ちで見学をされることを提案して面談を終えた。

早速、翌日よりA病院とF病院に、S先生からの質問を確認する為、両病院にアポイントを入れた。

A病院に伺うと、老人保健施設も併設しており、まさに地域医療に根差した病院で、院内の雰囲気も良い印象だった。担当の事務部長にS先生のご希望について相談すると、S先生の希望に最大限応えて頂ける内容であった。

一方、F病院は症例数や手術件数ともに魅力的な病院であり、院内の雰囲気もA病院と同じ印象を受けた。しかし事務長に詳しい話を伺ったところ、現在の整形外科医の出身大学の関係から、A病院と比べると、S先生が落ち着いて勤務できる環境を得られない可能性があるのではないかと不安が残った。

A病院、F病院ともにお伺いした内容をまとめ、S先生に報告の連絡を入れた。S先生はA病院に強い関心を持って頂けている様子であった。「F病院は自分でも少し調べてみます」とおっしゃられ、「まずはA病院の面接を希望します。病院の調整が難しい状況であれば、見学だけでも早い段階でお願いしたい」と希望された。

早速、日程の調整ができ、1ヶ月後に面接を組むことができた。

次へ続く

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