ドクター転職ショートストーリー

迷い、そして笑顔へ(下)

2012年8月1日 コンサルタントT

次の日、Bクリニックから連絡を頂いた。「先生の反応は如何だったでしょうか」との事。私は、年俸の事は他院よりも低額で心配だが、院長先生の考え方に共感されていらっしゃる事、Bクリニックの仲間になりたいと思われている事など好印象を持たれてる事を伝え、トータルで比較検討されてお返事を頂く様になっていることを伝えた。また、Bクリニックは、様々な角度で充分に検討された年俸額の提示と、院長先生の熱い思いを伝えられた事でこれ以上のアプローチは無いので後は先生の考え方次第である事を伝えた。事実コンサルティングの立場から非常に熱意と誠意を感じた為、私が伝える事が出来る全ての事を伝えた。

数日後、A先生より連絡を頂いた。「家族とも相談した結果、Dクリニックに行く事に決めました。Bクリニックの院長先生には大変有り難いお気持ちを頂いたのですが、申し訳ないとお伝え下さい」との事であった。「非常に残念ですが了解致しました。今後また機会が御座いましたら是非またお声掛け下さい」とご挨拶し受話器を置いた。
Bクリニックに連絡する事に戸惑ったが、院長先生にA先生のお返事を伝えた。「非常に残念です。でもクリニックとしてベストを尽くした為、仕方が有りません。引続き先生のご紹介をお願い致します」とのこと事であった。

2週間後、突然A先生より「とてもお話しし辛い事なのですが・・・」とお電話を頂いた。「Dクリニックの条件に相違が有った為、やはりBクリニックにお世話になりたい」との事であった。A先生は再度Bクリニックの院長に直接お話しをさせて頂きたいとの事で有ったが、私がまず事情を詳しくお聞きし、院長先生にお伝えする事とした。

早速、Bクリニックに翌日のアポイントを頂き、院長先生と事務長に、A先生とDクリニックとの条件面の相違と先生の現状と入職希望の意思をお伝えした。院長先生から他社の紹介で他の先生のご紹介を既に頂いており、面接の予定が入っているとの事であった。しかし、再度お会いして直接お話しを伺いたいとの事で有った為、再面接の日程を頂いた。

A先生とBクリニックとの再面接の日、先生は申し訳無さそうにDクリニックとの条件の相違についての話やご自身とご家族の生活スタイルが明確となった事等を話された。Dクリニックでは当直等の条件により家族との時間が取れない環境となってしまう事、年俸額に魅力を感じて他院を選んだ事、お子様達の教育環境の事、ご自身のキャリアの事などを整理されながら院長先生に説明された。また、A先生は院長先生から初回面接時に伺っていた院長先生とBクリニックの夢・目標・考え方について賛同されている事をご自身の言葉で熱く語られた。院長先生は笑顔でしっかりと先生の目を見ながら、「このクリニックの仲間になって一緒に頑張りましょう」と、その場で採用の旨を伝えられた。ではリンクスタッフさん後は事務長と調整を宜しくと仰られ再面接が終了した。

Bクリニックの労働条件は、基本年俸2000万円 週5日勤務 当直2回/週(オンコール対応) 赴任旅費全額負担 住宅手当半額補助 昇給制度有りという内容で当初のA先生のご希望通りの内容であった。A先生は新天地で、4月からお子様の小学校・幼稚園・保育園も決まり新しいスタートを家族で迎えられた。A先生のご入職後Bクリニックに伺いA先生にお会いすると非常に明るい声で「頑張ってますよ」との言葉と最高の笑顔を頂いた。家族の環境も考えながらの就職活動期間は、非常に悩まれた時間であったのだろうと想像でき、これからの先生のご活躍を応援したいと思う気持ちと共に、新体制を整えたBクリニックの夢・目標を実現される事を心から期待したい。

転職という大きな決断をしようと思われている先生方は、それに伴いそれぞれの環境や問題点も当然お持ちである。その中で迷う事は当然の事である。コンサルタントとしての立場で、どの様に接し対応するのか、また転職先の病医院との関係作りについて、これからの経験の中で、自分自身を磨いていきたい。

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