ドクター転職ショートストーリー

先生の本当の気持ち(下)

2011年2月1日 コンサルタントO

急遽、勤務地変更での再提案となり、私は早急に求人案件探しに取り組んだ。
「婚約者が遠方の秋田にいる」、「九州の実家で父親が産婦人科医院を開業している」という悩みを受けての再提案。前者に関しては以前提案をさせていただいた勤務地よりも、秋田にある美容皮膚科クリニックの数が限られているため、すぐに見つかった。しかし、秋田での産婦人科病院については大変苦戦した。転科のY先生を受け入れてくれる臨床研修施設で、なおかつ研修医として勤務が可能な病院を探すには時間を要した。多くの病院やクリニックが「是非産婦人科医師が欲しい」という状況ではあるが、今いる先生方が指導を行う余裕がないという現場がほとんどであった。

多少時間がかかり、Y先生が不安になっておられたため、私は頻繁に連絡を取り、求人案件の状況や今後の話をしながら、Y先生の気持ちの変化を伺うことを繰り返した。Y先生は産婦人科医の道を探るにあたり、周りの友達や医師の助言をもらい、また九州にいる家族とも話し合い、美容皮膚科への道を再度決心されたようであった。

秋田での提案は、スキルアップも望めて、レーザー機器も豊富にあるという美容皮膚科Aクリニックの勤務医と、皮膚科がメインであるが、美容機器はあるので、自分で診療を広げることができるBクリニックの管理医師の求人である。
どちらもいくつかクリニックを持っているところであり、美容の勉強を系列のクリニックでできるというところに興味を持たれ、話を進めていくこととなった。

双方のクリニックの面接では、Y先生の人柄の良さもあり感触は良かった。Y先生自身も何故こちらの勤務地を希望したのか、自分のやりたいことをごまかしたり、隠したりすることなく、はっきりと話された。当初、管理医師には自信がなかったY先生だったが、バックアップ体制がしっかりとなされたクリニックであることと、Y先生自身の実家が開業されていることで診療報酬の点数なども普段から意識されているなど、管理医師に向いていることもわかった。
Bクリニックからは、Y先生へ是非来てほしいという言葉と、高条件の年俸2,000万の提示をいただいた。AクリニックからもY先生の人柄に惚れられ、是非にというお言葉をいただいた。新たな勤務地ということで心配が多く不安になられていたY先生だったが、面接を行っていく中で自信が付き、強くなっていかれたように見受けられた。そしてAクリニック、Bクリニックの決定に大変悩まれた結果、Bクリニックでの管理医師という責任ある仕事に挑戦することを決断した。

無事、美容へのスキルアップができる皮膚科クリニックの管理医師としての勤務が決定したときは、「本当に私でよろしいのですか」と大変謙虚に話され、今までにない大きな喜びを表された。
私はコンサルタントとして、先生が何を考え、何を望むのかを追い求めていき、いかに先生の気持ちに添える転職先へとご案内できるのかを常に考えている。今回のY先生の転職では、求人案件の再検索や、担当地域以外での面接などで、苦労した点が多かった。また、女性としての悩みやY先生の事情に触れ、最終的にY先生が満足のいく転職先へとご案内でき、Y先生と同様に喜びを感じることができた。

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