ドクター転職ショートストーリー

『プライド』(下)

2008年04月01日 コンサルタントF

 それから求人を探し続け数日が過ぎたある日、先生の自宅から若干遠いものの外科求人のあるC病院を見つけた。求人の詳細を確認したところ、前回とは違い、あくまで外科医としての勤務を約束頂いたため、すぐに先生に紹介した。先生は「うーん、ちょっと考えさせて下さい・・・」とちょっと浮かない返事だったが、次の日の午後に連絡が入った。「今朝、通勤時間帯にC病院に行ってみたらB病院とあまり変わりませんでしたよ。面接で詳しいお話を聞きたいのですが。」

 そして面接の日は訪れた。今度は私もすがる想いで面接に望んだ。先生も相変わらず緊張した面持ちだが前回を思い出したのか、ちょっと元気が無さそうに見えた。

 今回の面接は1次・2次とあり、まずは1次面接で事務長と外科部長が面接相手だった。1次面接は和気藹々とした雰囲気で進み、その雰囲気のままで終了した。終了後に先生を見ると明るく晴れ晴れとした表情で立っていた。
 「先生いかがでしたか?」
 「うん、思っていたイメージに近くてなかなか良さそうですね。2次面接もお願いしたいのですがどうでしょうか?」
 「きっと大丈夫ですよ!進めましょう!」

 次の日C病院から連絡があり、もちろん結果はOK!早速次の段取りを組んだ。

 そしてとうとう2次面接の日。これまでにない明るく自信に満ちた表情をしたK先生が現れた。「これなら大丈夫だ」その先生の表情に私も勇気づけられた。

 2次面接の相手は理事長・副院長先生。いきなり理事長から「K先生は当院でどんなことがしたいのですか?」と質問されるも、堂々と自信を持って返答した。「外科医として納得出来る勤務がしたいです!」
 その後もK先生は自分の考え・気持ちを伝え面接は無事終了した。

   病院を出たところで、私は高まる気持ちも抑えながらK先生に問いかけた。
 「先生いかがでしたか?」
 先生ははじめて見せる満面の笑みを浮かべながら「いいですね、やっと自分のやりたいことが出来そうです!」

  翌日、C病院からも連絡が入る。「是非とも当院で頑張って欲しい!やったー!!」
 私はまるで自分の勤務が決まったような嬉しさを抑える事が出来ないままK先生に連絡した。
 「先生、決まりましたよ!良かったですね!!」
 「あー、やっと決まりましたね、ありがとうございます。ほっとしました。」

 それから2週間後、先生の勤務が始まった。
 1ヵ月後にC病院に先生を訪ねて、いつものように問いかけた。
 「先生いかがでしたか?」
 「忙しくて大変ですけどやりたい事が出来て充実しています!」。

私は先生の活躍を祈りながら病院を後にした。
 空を見上げると雲ひとつない青空が広がっていた。

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