ドクター転職ショートストーリー

指導医の苦悩(下)

2005年11月15日 コンサルタントS

 先生のご希望条件は次の3つである。-1.消化器内科医を募集中 2.日本糖尿病学会認定教育施設になっていること 3.専門にとらわれず、幅広い勉強をさせてもらえること-。
  専門にとらわれない医療は、地域医療を実践している民間病院の得意分野である。年俸アップも確実に実現できる。「日本糖尿病学会の認定施設」これが一番の課題だった。
というのも、先生の住む県内にある日本糖尿病学会認定教育施設はたったの6件。ご自宅からの通勤圏内にそうあるはずもなく難航。私は先生に転居の可否を伺いながら、なるべく近い所で先生のご希望に沿った某民間病院を提案。向上心が有り、消化器内科医としての高いスキルを持ったY先生を病院側は高く評価し、引越し費用や住宅に対する補助もして頂けることになった。いくら医師不足の世の中と言っても、全部の病院がこうした費用を負担してくれるわけではないし、入職は“縁“と言えなくも無い部分が大いにある。私は先生に切り出した。「先生、とにかく一度見学に行ってみましょう!

早速、ご面談を設定し、院長先生や内科部長と直接お会いし、院内見学などをして頂いた。その結果、先生に病院の魅力が十分に伝わり、また先生に対する評価の高さや期待の大きさなども十分にご理解を頂けた。正に「百聞は一見に如かず」。お互い顔が見えると意外にスムーズに話が進むものである。病院側から物件の紹介などのお力添えをして頂き、住環境の良い物件があることも分かった。先生も奥様も転居に対しての抵抗感が徐々に薄れてきて、ご勤務内容や新しいお住まいの環境の良さに十分満足され、年収1400万円という条件で入職が決定した。
始まりは、臨床研修制度への不満。しかしこれはご自身の現状と思い描く将来像とのギャップを考える、ひとつのきっかけでしかなかった。私たちの使命はそのギャップを埋める仕事である。今回の件でそれを再認識した。

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