ドクター転職ショートストーリー

二足のわらじのスタート(上)

2005年03月15日 コンサルタントI

D先生の転職に際しての条件は、まずは当然ながら「当直無し」であった。大学院は夜間部に通われるため、日勤帯のみでしか勤務ができないからである。次いで、「通学に便が良い」という地理的条件。そして、「法律家を志すことを許してくれる医療機関」この3つであった。まさに、学業を中心に据えた条件である。

 医療機関への打診・交渉は比較的スムーズであった。先生が考えられていたような「法律家になりたい、なんていう我侭な医者を雇ってくれるようなところがありますかね?」という心配は幸いにも杞憂に終わった。どの医療機関も、大歓迎という意向で応じてくれた。一様に、事務長や理事長といった方々は、「もし、司法試験に合格したら、当院の顧問弁護士に・・・」という反応で、法科大学院への進学、そして医業との両立、ということに関しては非常に好意的に受け取っていただいた。

結局、大学院に近いという地理的条件を備え、先生に高い評価と興味を示し、より好条件を提示してきた川崎市にある2つの医療機関に案件を絞り込み、交渉を重ねた結果、晴れて4月からの勤務先が決定した。
年俸は1500万円から150万円アップの1650万円。当直無し、夕診・残り番無し、病棟管理については療養病棟担当でオンコール免除、併せて、赴任費用、住居手当など、先生にとってはこの上無い条件でのご転職となった。

 転職が決定して、先生に尋ねてみた。
「弁護士と、医師、どちらの仕事を主にやって行きたいのですか?」笑って先生は答えた。「まぁ、まずは司法試験に合格しないとね」
先生の勤勉さをもってすれば、きっと合格は難しい話ではないと思う。

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