ドクター転職ショートストーリー

職場の環境

2004年08月15日 コンサルタントK

T先生は34歳、卒後10年目の整形外科医である。現在、症例数の豊富なことで有名な地域の中核病院で、メインの執刀医としてメスを振るっていた。しかし、当直料込みの年収は約1300万円と、私は若干少ないように感じた。
 T先生の転職理由は、勤務されている病院に対する不信感。概して、ほとんど身体を休めることが出来ない勤務体制への不満や同世代の医師との所得格差などは、どの勤務医でも少なからず疑問に思うことであろう。だが、そのことに対して病院側に発言すらできない、できたとしても何の反応もないといった院内の雰囲気に耐えられなかったという。
 新しい職場を探すにあたって、私はT先生とあることを約束した。それは「納得のできる勤務先がなければ転職しない」という、至って当たり前のことである。T先生も今回で2度目の転職ということで、安易に決めない方がよいと考えていたようだ。そこで、院内の雰囲気がよく、やりたいオペもできて、ある程度ゆとりのある勤務体系の病院を探すことになった。

 正直なところ、このような病院には誰だって勤務したいだろう、見つけることができるのだろうか。しかし、意外なことに時間はかからなかった。社内のデータベースや他のコンサルタント達から得た情報に頼ったところ、ある病院が候補としてすぐに浮かんだのである。早速面談を設定し、T先生を交えてこの病院と納得のできるまで話し合いを重ねた。その結果、こちらの希望が全て満たされた上、年収も1500万円プラスその他手当てと大幅にアップ。T先生のご決断は早かった。
 入職後、T先生は「忙しいが、自由な雰囲気の中で働けるので大変満足しています」とおっしゃった。やはり、「やる気」は報酬などによって左右されるが、職場の環境にもよるのだと改めて感じた次第である。

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