中川 泰一 院長
- 1988年
- 関西医科大学卒業
- 1995年
- 関西医科大学大学院博士課程修了
- 1995年
- 関西医科大学附属病院勤務
- 2006年
- ときわ病院院長就任
- 2016年
- 現職
前回各種、腸内マクロバイオームと関連が疑われている疾患の関係について触れたので、今回は口腔内のマクロバイオームについて。
この口腔内マクロバイオーム。色々な疾患や全身の健康に結構重要な関連があると注目されている。実際、腸内マクロバイオームなどと違って、口の中って身近な気がする(だって、腸の中なんか簡単に指で触れたりできないでしょ)。口の中は毎日のように食事したり、歯を磨いたり、爪楊枝や糸楊枝でほじってみたりと、色々直接触れたり感じたりしているので、逆にピンとこないかもしれない。しかし、外界と直接繋がっているし、腸内のマクロバイオームにしたって、ここを通らないと腸に辿り着けないわけだ。
と言うわけで、重要な口腔マクロバイオームだが、なんだか腸内マクロバイオームと比べると、あまり研究がなされてないような気がする(私の知見の範囲なので間違ってたらごめんね)。
やはり口腔のマクロバイオームというと、歯周病菌が中心になっている。口腔内の病原菌疾患って殆ど歯周病なんだから仕方ないのかもしれないが。もう一つ、口腔内って耳鼻科と歯科の狭間のような気がするが、口腔癌や舌癌など以外は主に歯科の担当となっている。で、歯科の先生は全身疾患には無縁で、どうしても口腔内の疾患に目がいってしまうということでは無いのかなと思う(あくまで個人の感想ですが)。
そのような訳で、腸内マクロバイオームに比べ、口腔内マクロバイオームはまだまだ研究の余地があるはずだ。だいたい腸内マクロバイオームだってこれからだもんね。
そもそも、口腔内には多数の細菌、ウイルス、真菌、原虫が生息しており、これらの微生物群をまとめて「口腔マイクロバイオーム」と言う。そして、これらの細菌や真菌が増殖し、口腔内のバランスが崩れることで疾患が発生することがある。しかし、口腔内マイクロバイオームのすべての細菌や真菌が有害なわけではなく、多くの細菌は口腔の健康を維持するための役割を果たしている。したがって、口腔ケアの際には、何でもかんでも除菌ではなく、良好なバランスを保つことが重要だ。
この辺りは腸内マクロバイオームも同じ事で、一部の有害なマクロバイオームが突出して増えると身体の不調、更に疾患を引き起こすことになる。くれぐれも、バランスが重要な訳で、この辺りの判定加減が難しいと思う。
以下に口腔内マイクロバイオームに関連する代表的な細菌とそれらが関連する疾患の例を示す。
さらに、これら口腔内の疾患以外で口腔マイクロバイオームと全身疾患との関連は、近年の研究で注目されつつある。特に、一部の細菌が体内の他の部位に移動して、全身の健康に影響を与える可能性が指摘されている。
以下は口腔マイクロバイオームと全身疾患との関連を示す。
このように、口腔の健康が全身の健康にどれだけ影響を与えるかを示す示唆に富む情報が得られてきており、日常の口腔ケアの重要性が再認識されてきている。
2023.10.10 掲載 © LinkStaff
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