中川 泰一 院長
- 1988年
- 関西医科大学卒業
- 1995年
- 関西医科大学大学院博士課程修了
- 1995年
- 関西医科大学附属病院勤務
- 2006年
- ときわ病院院長就任
- 2016年
- 現職
今回は話題がころっと変わってコロナのお話。と言っても全然アカデミックな話でなくてベタな臨床のお話。以前「私の日常業務で新型コロナは関係無い。関係者の皆さん頑張ってくださいね。」みたいな事を書いていたのだが、ここに来てコロナ漬けの日々を送る羽目になってしまったのだ。
まず、ワクチン接種。開業の先生方からは「接種料が安い!」「事務手続きが煩雑過ぎる!」と大不評だ。1人、2070円(税込み)。沢山打つと加算が付くらしいが、市に問い合わすと「何も決まってません。算定どうするんですかね?無理じゃないですか?」だって。
皆さん大半がボランティア気分で仕方ないと諦めてる。大方の先生方が、医師会に言われて仕方なくやってるのが現状じゃないだろうか。少なくとも私の周りはそうだ。日常業務犠牲にしてまでやったって割に合わないって事だろう。なのにだ!今、ワクチン接種に忙殺されている!
ことの発端はウチの患者さんたち(主にお婆ちゃんたち)に「ここで打てないの?」とよく言われた。かなり熱心に(しつこく)。何でも近所のクリニックで打てるところがあるらしい。医師会に入っていないからなのか(30年間ぐらいは入ってたけど。)行政から何の連絡も来ない。で、ウチの「できる総務」に調べてくれるよう頼んだ。「できる」彼女は某大学病院で病院長秘書の役付き公務員だったぐらいから、たちまち厚労省のサイトで登録からワクチンの申し込みまで済ませてしまった。ウチは再生医療なんかやってるからー80°Cのディープフリーザーを持ってて「基本施設」扱いになった。すると一度の発注単位が何と1170回分!自慢じゃないがウチの本院の保険の患者さんって大していてない。「50回分ぐらいでいいかな?」なんて思っていたから、「えーどうしよう?」と思ったが、仕方ないので1セットだけ(と言っても1170回分!)申し込んだ。すると普通は2週間ごとの申し込みになり、配送はその後になるのだが、受ける施設で1箇所キャンセルが出て、保健所が送り先無くて困っていたらしい。
「いつから受け入れられますか?」「今日でもいいですよ。」と言うと、直ぐに保健所の方が2人がかりで届けに来られた。まあ、ビックリするぐらいのでっかいドライアイス詰めの専用の「ワクチン輸送箱」が来た。重くて1人で持てないから2人なのだ。その他、接種用のシリンジや針、ワクチン希釈用のシリンジと針、生食まで。
よく、新しいガジェット買ったら「開封の儀式」みたいのを載せてる人がいて、バカにしていたが、今回その気持ちが分かりましたよ。
もうもうとドライアイスの煙の立つ中から、25cm四方の平べったい拍子抜けするくらい小さい箱が出てきた。写真撮って、嬉しそうにウチのスタッフに送ると、「先生!髪の毛ちゃんとといて!」「え!そっち?」。なんかせっかくのワクチンに感動が無かった。
そんなこんなで、送られてきた「ワクチン接種会場」ポスター1枚を表に貼っただけでスタートしたのだが、いきなり電話鳴りっぱなし。
厚労省のホームページには載ってるらしいけど、大阪市のホームページにまだ載ってないにも関わらずだ。近所の人はポスター見て直接入ってくる。常連の患者さんなんか「ここのクリニックこんなに混んでるの見たん、初めてやわ。」大きなお世話だ。まあ、患者さんが多いのは良いけど、手間がかかり過ぎる。オマケにあんまり儲からないし。特に事務作業が多い上に煩雑だ。最初大阪市だけだったのが、他の市町の方にも打って良い事になり、作業量も煩雑さも2倍、いや2乗で膨れ上がっていく。更に、毎日の接種データーを厚労省のシステムに入力しないといけない。正直、打つ側はそんなに手間は無い。筋肉注射だし。多くの医院が事務作業で遅れていると言うのもわかる。
ウチは「できる総務」の彼女がやってくれてるから回っているが。今も、隣の部屋で鬼の形相でひたすら処理してるので、この原稿を書き終わったら「ホットカフェラテ」買ってこないといけない。
と言うわけで、現場の問題点は次号に続く。
(8月号に続く)
2021.7.10 掲載 © LinkStaff
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