Dr.中川泰一の医者が知らない医療の話(毎月10日掲載)
中川 泰一 院長

中川 泰一 院長

1988年
関西医科大学卒業
1995年
関西医科大学大学院博士課程修了
1995年
関西医科大学附属病院勤務
2006年
ときわ病院院長就任
2016年
現職
2020年3月号
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コロナウイルス肺炎 II

 今回はちょっと遺伝子治療についてと思っていたのだが、周りがあまりにコロナで騒がしい、まあこの騒動の記録の意味もあると思うので、もう少しお付き合いください。

 新型コロナCDVID19は2020年2月末から3月にかけて感染が急拡大しそうで、マスク始めトイレットペーパーなんかの生活品の買占め騒動まで起こっている。
 前回、マスクの口利きをした話をしたが、その時、色々と声を掛けた関係で、その後もマスクや防護服の情報がひっきりなしに入ってくるようになってしまった!
 ひとえに私の人徳の為すところと思いたいのだが、どうもうちの秘書が例の社長をかなり詰めたらしく、各方面の「コネの強い人たち」に声を掛けて貰ったというのが真相らしい。やっぱりね。一方でいろんなとこから「マスクないですか?」と聞かれる。知り合いの先生や病院から、はたまた中国に寄付したいという殊勝な方まで。もちろん商売にしたい人達からも。取引単位も1万枚から1000万枚まで言ってくる。

 マスクといってもいろいろな規格があるから一概には言えないが、N95規格なんか人気だ。巷ではAMAZONなんかで1枚400円から1000円ぐらいで売られているのだが、だいたい1枚80円から120円ぐらいで話が来る。結構な利ザヤじゃないか!
 ところが、これでも高いと言ってくる。「中国で増産始めたので相場が落ちてますよ」と。「なら、そっちで買えや!」
 元々引く手数多のブツを善意(仕方なく?)で回して貰ってるのに値切れるわけがない。しかも、「詐欺も多いので現物確認させてくれ。」と来る。まあ、買う側からすると確かにその通りだし、この手の詐欺は多い。特に中国絡みにになると一層怪しい。
 ただ、こちらに回して貰ってる人達は他の仕事でいろいろと付き合いがある上、マスクなんかで稼がなくてもいい人達だ。しかも億単位で現金先にいれて入荷を待っている買い手達に割って入れてもらうのだ。売り手にしたら「先に注文を確定してくれ。」となる。
 今更、国内に100万枚単位で在庫なんか滅多になくて、海外から入って来るのが多いが、入って来ると瞬間に無くなる。インドネシアなどのアジアルートやロシアルートなどが多いかな。ポーランド製のマスクなんかこのルートが多い。航空便も多いが、定期的に船で来るルートがある。これらは入荷情報を知っている業者がいて、船が入って来ると日本に荷揚げすると関税がかかると言うのでので、現金取引で直接自分たちの船に載せて買って行く。
 この手の取引はほんの数時間で売り切れるので連絡取るだけで忙しい。手間がかかる割に「値段が合わないからヤメます。」なんて言われたら、こっちの信用がなくなる。無理して回してくれるというのに。

 医療関係者や、善意の個人の方はそんな事言わないのだが、取引単位がなかなか合わない。100万枚単位の話で来るので、1万枚だけ分けてもらうのは難しいケースが多い。大体、値切るやつは手数料くれるなんて話して来ない(病院関係者はもっと言わないけど、商売という感覚がないので仕方ないが。)。最近は防護服や消毒液などもいっぱい頼んで来る。ただ、コーヒー一杯だけの善意でブローカー業やってるいみたいでアホらしいのでなるべく関わらないようにしているのだが。

 このように、政府がどうこう言っても、裏では国際的にマスクなどが飛び交ってる。
 どうです。買い付ける資本があれば大儲けできますぜ。どなたか、興味のある方はどうぞ。後2ヶ月はいけますよ。
 ただし、SARSの時みたいにマスクの在庫抱えて、数年後に「倉庫代かかるので、タダでもいいから持っていて下さい。」となっても知りませんよ。ウチのNPO(災害救助医療ボランティア)が東日本大震災の時はガレ場で粉塵の多い地域に入っていったのでこの「善意のただマスク」が随分役に立ったけどね。
 後、知り合いがDMATで「ダイヤモンドプリンセス」乗ってとかあるけど、キリがないのでこの辺で。

(4月号に続く)

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