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年齢を重ねても、安心して暮らせる医療を

プロフィール

天本病院

天本病院

 東京都多摩市は東洋経済新報社の「住みよさランキング2015」の総合評価で東京都3位にランクされるなど、人気のある住宅都市である。鉄道の便も良く、多摩ニュータウンの中心となる多摩センター駅には京王相模原線、小田急多摩線、多摩都市モノレールが通っている。駅前には多くの企業や商業施設が集積するほか、サンリオピューロランドも位置する。
 天本病院は多摩センター駅から徒歩15分、小田急多摩線唐木田駅から徒歩8分の場所にある。社会医療法人河北医療財団多摩事業部が展開する病院で、地域包括ケア病床47床、回復期リハビリテーション病床48床、特殊疾患病床(一般)48床、一般病床36床の計179床を有する。1980年の開院以来、40年にわたり、在宅復帰のためのリハビリテーションや認知症の早期診断、早期治療といった高齢者ケアを推進してきた。
 今回は天本病院の舟木成樹院長にお話を伺った。


舟木 成樹(しげき)院長

舟木 成樹(しげき)院長 プロフィール

1948年に京都府京都市で生まれる。1977年に聖マリアンナ医科大学を卒業する。神奈川県立こども医療センター、国立小児病院(現 国立成育医療研究センター病院)に勤務のほかは聖マリアンナ医科大学病院に勤務する。2006年に聖マリアンナ医科大学東横病院病院長に就任する。2014年4月に新天本病院に院長として着任する。2016年に天本病院へ病院名変更後も引き続き、院長を務める。
専門は心臓血管外科。聖マリアンナ医科大学名誉教授など。

病院の沿革

天本病院
1980年
 
天本宏が天本病院(80床)を開設する。
訪問診療活動を開始する。
1986年
 
 
86床に増床する。
訪問リハビリテーション活動を開始する。
理学療法施設を開設する。
1987年
訪問看護活動を開始する。
1990年
作業療法施設を開設する。
1995年
医療法人財団天翁会を設立し、天本宏が初代理事長に就任する。
1997年
多摩市在宅介護支援センターケアサポートたまを開設する。
1999年
 
 
あいクリニックを開設する。
あい訪問看護ステーションを開設する。
天本病院在宅ケアサービスステーション24を開設する。
2001年
 
多摩市桜ヶ丘いきがいデイサービスセンターさくらを開設する。
あい介護老人保健施設を開設する。
2002年
言語聴覚施設を開設する。
2005年
 
 
天本病院を新天本病院(179床)とし、新築増床移転を行う。
天本病院在宅ケアサービスステーション24がケアプランセンターあいクリニックに名称を変更する。
あいグループホームを開設する。
2006年
多摩市中部地域包括支援センターを開設する。
2007年
あいクリニック平尾を開設する。
2009年
あい訪問看護ステーション平尾を開設する。
2010年
あいケアプランセンターいなぎを開設する。
2012年
 
あい小規模多機能施設かりんを開設する。
あいグループホームどんぐりを開設する。
2013年
 
あいクリニック中沢を開設する。
あい訪問看護ステーション中沢(サテライト)を開設する。
2014年
 
あいグループホームを廃止し、あいグループホーム天の川を開設する。
あい小規模多機能施設ほたるを開設する。
2015年
 
認知症初期集中支援チームを開始する。
地域包括支援センター等における介護予防機能強化推進事業を開始する。(2016年に終了する。)
2016年
 
 
多摩市いきがいデイサービスセンターさくらから移行し、桜ヶ丘いきいき元気センターを開設する。
多摩市中部高齢者見守り相談窓口を開設する。
社会医療法人河北医療財団と合併し、新天本病院から移行した天本病院を開設する。
2017年
 
 
 
あいフィットネスサロンさくらを開設する。
あい訪問看護ステーションせいせき(サテライト)を開設する。
あい小規模多機能施設おきな(サテライト)を開設する。
介護予防による地域づくり推進員の配置事業を開始する。
2019年
 
ケアプランセンターあいクリニック平尾を開設する。
あい小規模多機能施設こもれびを開設する。
2020年
あい小規模多機能施設ほたるから移行し、あい看護小規模多機能施設ほたるを開設する。

 天本病院を開設した天本宏医師は1969年に東京慈恵会医科大学を卒業後、1973年から聖マリアンナ医科大学神経精神医局に勤務し、長谷川式認知症スケールで知られる長谷川和夫医師に師事した。1974年に長谷川医師とともに東京都100地区の認知症実態調査を始め、精神医学的観点からの健康調査を行った。そこで、「コミュニティケア構想」を提唱する。当時は高齢者や認知症の患者さんは郊外の病院や施設に隔離収容されるのが一般的であったが、コミュニティケア構想は在宅医療をベースに地域の中でケアしていこうというもので、時代の先駆けとなった構想だった。
 その構想を実現化したのが1980年に開設した天本病院である。開業地は多摩市貝取であった。

 「天本先生は精神科の医師でいらっしゃいますが、私は聖マリアンナ医科大学病院で一緒だった時期があり、多摩センター駅の近くで開業するというお話も伺っていました。かつての精神科病棟は山あいの場所や都心から離れた郊外などにあり、臭い、暗い、汚いの3Kだと言われていたんです。しかし、天本先生は精神科医療ではなく、高齢者医療をしたいということで、あえて多摩市役所のすぐ近くで開業されました。街の中心地ということで、もしかしたら反対もあったかもしれませんが、『暮らしの場での高齢者医療』を提唱され、意志を貫かれたのでしょうね。」

 天本病院は順調に拡大をしていった結果、2005年に現在の場所に新築移転を行い、病床数は179床となった。

 「天本病院は最初から精神科の単科病院ではなく、高齢者医療を行っていきました。高齢者医療では行政、福祉、介護との関わりが深くなりますし、そうした職員も必要です。その意味で手狭になってきたのですが、多摩センター駅付近ではこれだけ広い土地は確保できないとのことで、この場所に移ってきました。この場所は前の病院の場所からは車で10分ほど離れており、多摩センター駅よりも唐木田駅に近く、まだ広い土地が残っていたのです。」

 天本病院は高齢者医療におけるパイオニア的な存在であり、多摩ニュータウンをはじめとする多摩市地域全体を病棟と捉え、地域包括ケアの一端を担ってきた。

 「病院という場所は医師と看護師がいるのが基本だという時代に、天本先生はリハビリテーションと介護の重要性を認識しておられました。以前は病院内で雑用をする人ぐらいの認識しかされていなかった仕事が今は専門性を高め、介護福祉士となりました。当院では介護職の充実に力を入れています。天本先生は病院の周囲に早くから介護施設や老健施設を作ってこられましたが、これが今はあいセーフティネットになっています。これからも当院はあいセーフティネットの中心的な存在として、地域に頼りにされる病院でありたいです。」

2020.07.01 掲載 (C)LinkStaff

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