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地域に密着した「患者中心の医療」を
財団法人 東京都保健医療公社 多摩北部医療センター

プロフィール

財団法人 東京都保健医療公社 多摩北部医療センター

財団法人 東京都保健医療公社 多摩北部医療センター

 東京都東村山市は北多摩地域に位置し、1964年に市制が施行された街である。西武新宿線、西武池袋線で新宿や池袋と30分以内で結ぶため、都営住宅や団地、官公庁住宅も多く、15万人以上の人口を有する。
 多摩北部医療センターは東村山、清瀬、東久留米、小平、西東京の5市からなる北多摩北部2次医療圏の中核病院の一つである。2005年に東京都から東京都保健医療公社に移管され、以後は小児から高齢者までの全年齢層を対象とする急性期病院として運営し、2006年に地域医療支援病院に認定された。救急医療、がん医療に加え、実績のある高齢者に対する専門医療、地域からの期待が大きい小児医療が重点医療である。東京都立清瀬小児病院が統合移転した後は小児救急、小児二次医療でも圏域内で重要な役割を果たしている。
 今回は菊池友允院長にお話を伺った。


荒井壽明 会長

菊池友允(ともみつ) 院長プロフィール

1947年に静岡県富士市に生まれる。1972年に千葉大学を卒業後、東京女子医科大学消化器病センター外科に入職する。1978年に東京都立荏原病院を経て、1980年に東京女子医科大学第二病院(現 東京女子医科大学東医療センター)の講師に就任する。1990年に東京都立府中病院に外科医長として勤務する。1996年に財団法人東京都保健医療公社多摩南部地域病院に外科部長として着任する。2005年に財団法人東京都保健医療公社多摩北部医療センターに副院長として着任する。2008年に多摩北部医療センター院長に就任する。専門は消化器外科、一般外科、乳腺外科。日本外科学会専門医、日本消化器外科学会専門医・指導医、日本大腸肛門病学会指導医、日本消化器病学会専門医、日本乳癌学会認定医、検診マンモグラフィー読影認定医など。



病院の沿革

 多摩北部医療センターの前身は都立の東京都多摩老人医療センターである。東京都多摩老人医療センターは1986年7月に3病棟120床で診療開始された。翌年には6病棟240床になり、救急病院の告示も受ける。1988年には8病棟320床に拡張し、全面開設となった。
 1990年には臨床研修病院、1997年には東京都災害時後方医療施設、災害拠点病院の指定、東京都エイズ診療拠点病院の指定を受けるなど、公的な医療機関としての存在価値を高めていった。
 しかし、2001年に都立病院改革マスタープランが策定され、東京都多摩老人医療センターを取り巻く環境が大きな変化の兆しを見せていく。このマスタープランで、東京都多摩老人医療センターを地域病院化し、財団法人東京都保健医療公社に運営を委ねることが示された。このとき、東京都多摩老人医療センターのほかに公社への移管が決まったのは大久保病院、荏原病院、豊島病院であった。これで公社病院として設立された東部地域病院、多摩南部地域病院を含め6病院が東京都保健医療公社に属することとなった。

 2005年、東京都多摩老人医療センターは多摩北部医療センターに改称し、新たなスタートを切る。

 「公社6病院はそれぞれの二次医療圏という地域に根差し、地域医療をこれまで以上に推進するという使命がありました。当院の立地する地域で必要とされる医療を適切に提供する必要があるため、移管後は小児から高齢者までの全年齢層の患者を受け入れ、地域の医療機関などとの連携のもとに、紹介、返送・逆紹介制度により、継続性のある一貫した医療を提供していくことになったのです。」
 また、このマスタープランにより、清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ヶ丘病院の3都立病院が統合された形で府中市の多摩メディカル・キャンパスに移転し、東京都立小児総合医療センターとして開設されることになった。清瀬小児病院は北多摩北部二次医療圏の中で大きな役割を果たしてきたため、地元住民、医師会から移転に対する猛反対の声が上がった。
 そこで、多摩北部医療センターがこの圏域での小児科二次医療、小児救急を引き受けていくことになった。

 「これだけの規模を引き継ぐのは一般の病院では無理ですし、行政的医療の側面から当院で小児科診療や小児科救急を行うことになったのです。現在は常勤医師7人、非常勤医師8人、ベッド35床で運営を行っています。月に外来新患は600人、新規入院患者も100人以上を受け入れています。救急も多いです。」

 「老人医療センター」というと、療養型病床や慢性期医療といったイメージがあるが、多摩北部医療センターが多摩老人医療センターの時代から取り組んできたのは65歳以上の高齢者を対象とした専門医療である。現在は高齢化が進んでいるが、1986年に病院の歴史が始まった頃は高齢者に対する手術や高度な治療に対する研究、治療は珍しいものだった。そのため、内科を細分化し、それぞれに専門医を擁していたことが大きな特徴で、それは公社への移管後も変わっていない。最近では血液内科のゼヴァリンによるRI標識抗体療法で注目を集めるなど、先進医療への取り組みも活発だ。

 「当院は以前も高齢者だけが対象ではなかったのですが、小児科を扱うようになり、病院の雰囲気や患者の年齢構成は変わってきましたね。」

 2006年には紹介率40%、逆紹介率60%をクリアし、地域医療支援病院に認定されたが、公社化の目的自体が地域連携の強化にあったので、病院内ではこの認定を当然のことのように受け止めたという。
 その後は病院機能の改善に向けての動きが始まり、小児科病棟の改修工事も行った。

 「最初は1病棟の中に小児科を作ったのですが、それでは機能的に重症の患者さんを受け入れられないだろうということで改修に踏み切り、オープンスペースなどを拡充しました。感染症の患者さんはほかの患者さんと隔離するなどの工夫を凝らしています。NICUはないのですが、小児科の管理のもとで新生児も診ています。」

 多摩北部医療センターは、今後も地域医療支援病院として地域の医療機関と積極的に連携を図りながら、医療の継続性を確保し、地域住民に適正な医療を提供していくだろう。

2012.01.01掲載 (C)LinkStaff

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