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そめや内科クリニック

染谷 貴志 院長

染谷 貴志 院長プロフィール

1970年に千葉県柏市で生まれる。1995年に東京慈恵会医科大学を卒業し、虎の門病院で研修医となる。研修終了後も虎の門病院に勤務する。2006年4月に神奈川県川崎市高津区にそめや内科クリニックを開業する。2012年5月に医療法人社団 One-for-allそめや内科クリニック理事長に就任する。現在も虎の門病院で非常勤外来を担当している。日本内科学会認定医・専門医、日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医、産業医など。日本消化器内視鏡学会、日本老年医学会、日本プライマリケア学会、日本家庭医療学会、日本抗加齢学会、日本代替医療学会にも所属する。

 神奈川県川崎市高津区は川崎市中部の代表的な商業地として発展している。中でも末長地区は高津区の中心にあり、東急田園都市線、JR南部線、第三京浜道路が通過し、東急の梶が谷駅や京浜川崎インターチェンジなどが位置する。梶が谷駅は多摩田園都市の入口に当たる。駅周辺には東急田園都市線開通以後の開発によって建てられた住宅地が広がり、マンションが立ち並んでいる。
 そめや内科クリニックは東急田園都市線梶が谷駅から徒歩3分ほどの場所に2006年に開業したクリニックである。染谷貴志院長は肝臓を専門にし、虎の門病院でキャリアを積んできた。開業後は内科、消化器内科を標榜しながら、ジェネラルな診療に取り組み、訪問診療も積極的に行っている。
 今月はそめや内科クリニックの染谷貴志院長にお話を伺った。

開業に至るまで

◆ 医師を目指された経緯をお聞かせください。
 父が法学部出身だったこともあって、中学生の頃は私も法学部に進学し、弁護士になりたいと何となく考えていました。ところが、私は文系科目はあまり得意ではなく、理数系の方が得意だったのです。高校2年生のときに改めて進路を決めるにあたり、理系の仕事であること、人と接する仕事であること、手に職があることといった条件から医師の仕事が浮かび上がりました。祖父が歯科医師で、歯科医院を開業していましたし、親戚にも歯科医師が多かったので、イメージもしやすかったですね。私自身が入院したときに見た医師の姿も心に残っていましたので、医師を目指すことにしました。


◆ 大学時代はどのような学生でしたか。
 ラグビーを頑張っていました。また、親から「お小遣いは自分で稼げ」と言われていたこともあって、アルバイトにも打ち込みましたね。医学部生は塾講師や家庭教師のアルバイトをする人が多いのですが、私は色々な人と接したかったので、様々な職種のアルバイトを経験しました。お弁当のデリバリーや引っ越しの作業員、お中元やお歳暮の仕分け、飲食店でのウェイターなどです。お弁当のデリバリーの会社は大学の近くの新橋にあったので、配達先は銀座や霞ヶ関、芝浦なんですよ。オフィス街や官庁街は面白い世界でしたね。また、パチスロ店でのアルバイトもしました(笑)。メダルの補充をしたり、盤面を掃除したりという仕事でしたが、これも違う世界を垣間見た経験でした。


◆ 大学時代はどんなご趣味をお持ちでしたか。
 ラグビーかお酒か、アルバイトかの日々でしたので、趣味はなかったですね(笑)。4年生ぐらいからは臨床医学の勉強が面白くなっていきました。あの頃が人生で一番、勉強したように思います。


◆ 研修先に虎の門病院を選ばれたのはどうしてですか。
 当時は今のようなスーパーローテートの研修はなく、母校に残るのがメインストリームでした。しかし、大学病院は受け持ちの患者さんがどうしても少なくなりますし、私はより多くの仕事がしたかったので、ポリクリの頃から外の病院に出ようと考えていました。そこで、いくつかの病院を見学に行きましたが、虎の門病院を選んだのはラグビー部の先輩が外科にいらしたことが大きかったですね。ハードな研修ができそうだという期待で一杯でした。


◆ 専門を消化器内科に決められた経緯をお聞かせください。
 最初は循環器内科医に憧れていました。心臓カテーテルで患者さんの生命の危機を救って、元気になっていただきたかったんですね。消化器内科はがんの患者さんを診ないといけないことに抵抗があったんです。しかし、先輩から「誰かがやらなくてはいけない仕事だ。君が真面目にやるのであれば、意義のある仕事だと思うよ」と言っていただいたことで変わりましたね。私は内科は診断のみの診療科だと誤解していて、外科医がいいなと思っていたこともありました。でも、消化器内科は手技が多いですし、がんと向き合える診療科です。そういったパズルが組み合わされていき、肝臓を専門とする上司から声をかけていただいたことで消化器内科に決めました。


◆ 虎の門病院にずっと勤務なさっていたのですね。
 初期研修が終わったときに、大学に戻ることも考えていました。しかし、卒後6年目でスタッフになるときに、その枠を確保してくださるとのことでしたので、虎の門病院で後期研修を行いました。結局、11年間の勤務でしたね。虎の門病院の後期研修は1年を4クールに分け、後期研修1年目は2クールを選択した診療科、それ以外の2クールをスタッフが足りない診療科に行きます。後期研修2年目では3クールが選択、3年目では4クール全てが選択となります。私はここで肝臓を選びました。肝臓に関しては手術以外の全ての治療を学びました。


◆ 勤務医時代を振り返って、いかがですか。
 大変でしたね。当直の回数はそこまで多くありませんでしたが、手技ものが多いので、夜間の呼び出しは割とありました。40歳、50歳になって同じことはできないと思います。20代から30代といった時期だからこそ、ハードワークに耐えられたのでしょう。

開業の契機・理由

◆ 開業の動機をお聞かせください。
 卒後6年目に肝臓内科に入り、スタッフとして6年、勤務しました。開業を考え始めたのは卒後10年目、スタッフになって4年目の頃ですね。肝臓内科は臨床もハードですし、研究や学会発表も積極的にやっていました。専門性を高め、肝臓内科医としてやっていける自信はありましたが、肝臓内科にさらに特化することにためらいが出てきたんです。糖尿病管理などの様々な管理のスキルが研修医時代より落ちてしまった気もしていました。医師になりたかったのはジェネラリストになり、より多くの患者さんを診たかったからですし、内科医としての一般的なスキルが落ちてしまう前に開業しようと思いました。


◆ 開業地はどのように決められたのですか。
 虎の門病院の肝臓内科は梶が谷の分院がホームグラウンドなのです。私としては分院のスタッフと一緒に仕事をしていきたかったですし、自宅も田園都市線沿線ですから、分院を中心にして、小田急線沿線から東急東横線沿線までの間で探しました。


◆ 開業地をご覧になっての第一印象はいかがでしたか。
 物件を紹介していただくたびに「いいな」と思えるものがありました。ところが、お願いした開業コンサルタントの方が「『いいな』と思える物件はそこそこありますよ。でも『ここしかない』と思える物件は100件に1件ぐらいしかないものです」と言ってくださったので、辛抱強く探しました。ファクシミリで図面をもらうたびに、実際に見に行っていましたね。
 この物件は不動産会社にお勤めの知人からの紹介で、見た瞬間に「ここしかない」と思えました。以前はCDショップだったところで、既にほかの業種も含めて10件ぐらいの申し込みがあったそうですが、オーナーが私どもを選んでくださったんです。梶が谷駅から徒歩3分で、バス停も前にあります。バス路線は溝の口駅や鷺沼駅、小田急の向ヶ丘遊園駅を結んでいますので、アクセスは申し分ありませんでした。


◆ マーケティングはなさいましたか。
 開業コンサルタントの方がざっくりとした調査をしてくださいましたが、私は特に結果を気にすることはありませんでした。


◆ 開業するまでにご苦労された点はどんなことですか。
 勤務しながらの準備ですので、時間を調整しながらマルチタスクをこなしていくことに苦労しました。ホームページの構築には注力しましたね。資金調達やスタッフを集めることには苦労はなかったです。


◆ 医師会には入りましたか。
 高津区医師会に入っています。大学の先輩が紹介してくださったので、開業当初に入会しました。小学校の校医や健康診断、休日診療所の当番などの仕事もしています。


◆ 当初はどのようなスタッフ構成でしたか。
 当初は看護師はおらず、事務スタッフを2人、採用しました。その後、知り合いからの紹介で、看護師に入職してもらいました。


◆ 医療設備については、いかがでしょうか。
 先輩方から開業にあたってはイニシャルコストを下げないといけないというアドバイスをいただいていましたし、私としては内視鏡に注力しようという考えもあまりなかったんです。そこで、知り合いが口コミをしてくださって、内視鏡は山形の先生から中古のものをいただきました。山形まで受け取りに行きましたよ。レントゲンは最初から設置しないといけないので購入し、そのほかは腹部エコーと心電図を揃えました。


◆ 設計や内装のこだわりについて、お聞かせください。
 自宅がコーポラティブハウスで、自由に設計できたのです。私はもともと設計や内装が好きで、先輩方のクリニックに見学に行ったりしていました。開業にあたってはコンペをしましたが、結局、自宅の設計でもお世話になった都市デザインシステムの家木淳さんとS&Tファイブステージ設計事務所の菅野勉さん、信太裕さん、桜岡朋哉さんにお願いしました。患者さんは辛い身体で来院されるわけですから、受付がエントランスの正面にあること、待合室が広いこと、北欧のホテルのイメージであることがこだわりですね。フローリングの色目の指定までしましたよ。ただし、院長室はなく、診察室が院長室を兼ねています(笑)。


◆ 明るい待合室ですね。
 患者さんにくつろいでいただくために、質感のあるフローリングにして、間接照明や自然の光を取り入れています。外に対してはオープンですが、窓にはデザインされたフィルムを貼って、プライバシーを保っています。また、インドアグリーンのコーナーも設けています。

クリニックについて

◆ 診療内容をお聞かせください。
 内科と消化器内科を標榜しています。3歳以上であれば小児科も診ています。あくまでもジェネラルなクリニックを目指しています。最近は禁煙外来の患者さんが増えてきました。禁煙外来が保険適応になったときに、患者さんからのニーズがあったので始めたのですが、予約不要な点が喜ばれているようです。私どもでは検診やインフルエンザなどの予防接種も予約不要にしています。


◆ 訪問診療もなさっていますよね。
 開業して8年も経ちますと、患者さんも高齢化してきましたので、訪問診療を始めました。ターミナルの方だけではなく、お一人では通院できない方も対象です。


◆ 患者さんの層はいかがですか。
 若い方から高齢の方まで、満遍なくいらしていただいていますが、内科のクリニックの中では若い患者さんが多いかもしれません。社保の方が目立ちますね。近所の方がほとんどですが、肝臓の患者さんは遠くからも来院されています。


◆ 検診はどのような内容で行っていますか。
 川崎市の検診がバリウムから内視鏡に変わりましたので、内視鏡による胃がん検診がメインですね。近隣の企業の健診もお受けしています。


◆ 病診連携については、いかがですか。
 患者さんの疾患に合わせて、私が知っている医師のいる病院にご紹介しています。紹介先としては、虎の門病院、帝京大学医学部附属溝口病院、総合高津中央病院、聖マリアンナ医科大学病院、日本医科大学武蔵小杉病院などが多いですね。また、聖マリアンナ医科大学系列の川崎市立多摩病院、昭和大学藤が丘病院、昭和大学横浜市北部病院などとも連携しています。


◆ 経営理念をお教えください。
 経営という観点からは甘いのかもしれませんが、患者さんがいいと思うことをしているのであれば、スタッフの判断で動いてもいいということです。クリニックの利益を追求するのではなく、自分のやるべきことは何かを考えておけば、結果として、クリニックの利益に繋がるはずです。


◆ スタッフ教育はどのようにされていますか。
 朝の始業前に朝礼を行い、午前の診療終了後にはミーティングを行って、情報の共有を図っています。スタッフが仕事に集中できていなかったり、患者さん中心の姿勢を持てなかった場合は個別に注意をしています。また、ボーナスの支給前の時期には個別面談を行い、コミュニケーションの円滑化を進めています。コミュニケーションを良くするためには他職種への理解とサポートが必要だと伝えていますね。


◆ 増患対策について、どのようなことをなさっていますか。
 ホームページのほかは口コミのみです。ホームページは動画や音楽を出すことなく、見たい情報を次々に見られるように、フローを改善しています。クリニックの雰囲気がよく伝わるようなページ作りを心がけています。今のホームページは2代目なのですが、2代目にあたってはツイッターやフェイスブックとの連携、また、オールアバウトで「消化器・肝臓の病気ガイド」を務めていますので、オールアバウトとの連携をスムーズにすることが課題でした。現在は3代目を構築中です。3代目はスマートフォンでの閲覧のための改善を行う予定です。

開業に向けてのアドバイス

 勤務医と開業医は忙しさの質が違います。どちらも手を抜こうと思えば抜けるものですが、開業医の場合はそれなりに大変だと理解したうえで開業されると、こんなはずではなかったと後悔することはないのではないでしょうか。
 内科の場合は外来だけの開業は厳しいので、在宅診療にも興味を持って始めていかれることをお勧めします。在宅診療は患者さんやご家族との繋がりを実感できますし、遣り甲斐のある分野です。

プライベートの過ごし方(開業後)

 余暇はラグビーと子育てが中心です。明治大学やサントリーのラグビー部のチームドクターをしているほか、田園ラグビースクールでチームドクター兼コーチを務めています。ラグビースクールには幼稚園の年少組から小学6年生まで250人が所属しているんですよ。また、東京ドクターズラグビーフットボールクラブで選手としても活動しており、全国ドクターズラグビー大会などに出場しています。

タイムスケジュール

タイムスケジュール

クリニック平面図

平面図

クリニック概要

そめや内科クリニック
  院長 染谷 貴志
  住所 〒213-0013
神奈川県川崎市高津区末長45-1
  医療設備 上部内視鏡、腹部エコー、レントゲン、心電図、スパイロメーター、電子カルテなど
  スタッフ 9人(院長、常勤看護師2人、非常勤看護師1人、事務長1人、常勤事務3人、非常勤事務1人)
  物件形態 ビル診
  延べ面積 約42坪
  敷地面積 約42坪
  開業資金 約5000万円
  外来患者数の変遷 開業当初 12人 → 3カ月後 20人 → 6カ月後 35人 → 現在 70人
  URL http://www.someya-clinic.jp/

2014.01.01 掲載 (C)LinkStaff

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