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大谷義夫 院長プロフィール
1963年に東京都豊島区に生まれる。1989年に群馬大学を卒業後、東京医科歯科大学第一内科に入局し、研修を行う。その後、国家公務員共済組合連合会九段坂病院、国立がんセンター肺内科で研修を行う。1998年に東京医科歯科大学第一内科助手に就任し、その後、東京医科歯科大学呼吸器内科助手に就任する。2001年に東京医科歯科大学呼吸器内科病棟医長、2003年に国家公務員共済組合連合会九段坂病院内科医長を経て、2005年に東京医科歯科大学呼吸器内科医局長に就任する。2008年に米国ミシガン大学に留学する。2009年に東京医科歯科大学呼吸器内科兼任睡眠制御学講座准教授に就任する。2009年に池袋大谷クリニックを開院する。
◆ その他経歴
日本内科学会総合内科指導医、専門医、日本呼吸器学会指導医、専門医、日本アレルギー学会指導医、専門医、日本医師会認定産業医、東京医科歯科大学病院非常勤講師など。
東京都豊島区の池袋は新宿、渋谷と並ぶ山の手3大副都心の一つであり、8路線からなる池袋駅の2007年度の一日平均乗降者数は約271万人となっている。駅西口には売場面積都内一、食品売り場面積は日本一の東武百貨店のほか、メトロポリタンプラザ、丸井、東京芸術劇場、立教大学などがあり、文化や芸術の香る街である。また、西口ロータリーに繋がる池袋西口公園は、石田衣良の小説『池袋ウエストゲートパーク』がTBS系でテレビドラマ化され、撮影の舞台になったことでも知られている。
池袋大谷クリニックはその池袋駅西口から徒歩2分の好立地に位置する。大谷義夫院長は東京医科歯科大学呼吸器内科で准教授を務めるなど、臨床や研究の最前線にいたが、生まれ育った西池袋の地に2009年に池袋大谷クリニックを開院した。呼吸器内科という専門性を打ち出し、遠くは横浜や茨城からの患者様も来院するなど、順調な滑り出しを見せている。
今月は池袋大谷クリニックの大谷義夫院長にお話を伺った。
開業に至るまで
◆ 医師を目指された経緯をお聞かせください。
実家は自営業で、親戚に医師もいませんでした。ただ、人に役立つ仕事に就きたいと小学校高学年から思っていました。その頃、医師という職業は生命を預かる仕事だし、一生、はらはらどきどきする仕事ではないかと考えて、夢見ていました。
◆ 専門を呼吸器内科に決められた経緯をお聞かせください。
子どもの頃から、医師のイメージは「風邪を治せるお医者さん」でした。実際には、風邪はウイルス感染であることから、簡単に治すことはできませんが、それでも風邪に最も近いイメージの呼吸器内科を選びました。また、胸部レントゲンの読影は極めて難しく、研修医時代に肺がんの患者様のレントゲンを見落としそうになったこともあります。胸部レントゲンで見落としがないように修行するためにも、呼吸器内科が最適でした。
◆ 大学時代はどのような学生でしたか。
東京都の池袋、それも駅から徒歩2、3分の繁華街の中で育ったため、地方都市である前橋は初めの頃は不便に感じましたね(笑)。しかし、地元の友人ができてからは東京に帰ることなく、群馬県で楽しい日々を過ごしました。勉強は3年生の解剖学実習のときと最終学年の6年生のときは大変でしたが、仲間との勉強会も楽しい思い出です。
◆ 大学時代はどんなご趣味をお持ちでしたか。
無趣味でしたよ(笑)。友人とはよく遊んでいましたが、趣味と言えるものはなかったですね。
◆ 東京医科歯科大学に入局しようと思われたのはどうしてですか。
当時の群馬大学は群馬出身者は2割程度で、半分以上が東京出身者でした。東京は新幹線でも、車でもすぐですしね。東京出身の仲間の中には群馬に残る人もいましたが、残ると決断すれば、ずっと群馬にいることになりますので、東京に帰るタイミングとしては卒業と同時がベストなのではないかと思いました。東京医科歯科大学を選んだのは最初は漠然としたイメージですね。私立大学のことはよく分からなかったので、見学も医科歯科のほかは東京女子医大しか行っていないんです。見学に行ったときに、医科歯科は他大学出身者に対する差別がないところだと感じました。
◆ 呼吸器内科に入局されて、そのイメージ通りでしたか。
確かに、差別はなかったですね。私としては長くいる気はなく、研修医時代だけでも医科歯科で過ごせればと思っていたのですが、居心地が良くて、20年も過ごしてしまいました(笑)。呼吸器内科は吉澤靖之教授がボスで、今は副学長をなさっていますが、親分肌の恩師です。弟子として本当にかわいがっていただきました。私は長く医局長をしていましたので、外の病院よりは大学の方が長かったですね。したがって、研究もそれなりに頑張っていました。准教授時代は吉澤教授からのプレッシャーもありましたが、厚生労働省の班会議などに出席する際には他大学からのプレッシャーもありました(笑)。
開業の契機・理由
◆ 開業を決心された理由をお聞かせください。
2008年にミシガン大学に留学させていただき、帰国後は准教授にもなって、これからというときに父が認知症になったんです。父は池袋に住んでいますので、父の住居があるビルで開業し、父の近くにいようと思いました。ビルは開業の5年程前に建て替えたばかりでしたので、綺麗でしたしね。弟の会社が1階に入居していたんですが、弟は近隣の場所に会社を移し、私が1階に開業することになりました。ですから、開業地を選ぶ苦労はありませんでしたね。
◆ では、開業するまでにご苦労された点はどんなことでしょうか。
親戚で医師がいなかったこともあり、どのような手続きで開業すればいいか、全く分からなかったことですね。誰に何を頼めばいいのか、最初は見当もつきませんでした。お蔭様で大学病院から200人近くの患者様が来てくださいましたが、地元ではゼロからのスタートですので、開業したものの潰れはしないかといつも不安でしたよ。
◆ 内装や医療設備についてはいかがでしたか。
幸い、弟の会社は内装業もしておりますので、レントゲン周りだけは専門の業者さんにお願いしましたが、ほとんど全ての部分を弟に任せました。
医療設備はどうコストを抑えるのかがポイントですね。宇都宮で開業する友達がかなり手広く経営していたので、私どもでもそのスケールメリットの恩恵に預かるべく、業者様を紹介してもらうなど、色々な方に協力していただきました。
◆ スタッフ集めはいかがでしたか。
看護師は以前、勤務していた病院の看護師にお願いし、早々と1人確保しました。受付スタッフ集めにもさほど苦労はなかったですね。今は看護師が4人在籍していますが、受付スタッフは募集中です。電子カルテを導入していますので、看護師も受付スタッフも仕事を覚えていく負担はそんなにないのではないでしょうか。
クリニックについて
◆ 診療内容をお聞かせください。
呼吸器科、アレルギー科、内科、咳・咳喘息外来、睡眠時無呼吸外来、禁煙外来などを行っています。開業前は「風邪や高血圧などのプライマリを診ることになるのかな」と予想していましたが、開業してみますと、プライマリの患者様が5%、呼吸器内科の患者様が95%ですので、専門性を打ち出さないことには経営はプラスにならないのだと実感しています。一般的な内科であったら、もう潰れていたかもしれません(笑)。大学病院時代からの患者様は箱根などからもいらっしゃいますし、新規の患者様も横浜や茨城から電車に乗っていらっしゃいますよ。池袋はやはりアクセスがいいですね。
大学病院時代より診療レベルを落としたくないと考えています。そこで、私どもから徒歩5分の場所にあるメトロポリタンホテルの中にあるメディカルスキャニングさんと提携し、CTの撮影をお願いしています。早くCTを撮れることで、患者様からも好評ですね。撮影後、すぐに戻ってきていただき、診断を申し上げることもありますよ。
近隣の先生方からのご紹介も多いです。医科歯科の大学病院まで地下鉄で10分程で行けますし、診診連携、病診連携もしやすいです。
◆ 経営理念をお教えください。
検査や処方で、大学病院では保険審査が通ったものがクリニックでは厳しくなるとよく言われますが、患者様に後悔していただかないように、大学病院時代と同様の検査、治療を続けたいと思っています。
開業前に、小学生の娘に「肺の絵を描いてみて」と頼んだところ、面白い作品が返ってきました(笑)。それをもとにグラフィックデザイナーにお願いして作っていただいたのが、私どものロゴマークです。これからも呼吸器内科という専門性を打ち出していきたいですね。
◆ スタッフ教育はどのようにされていますか。
女性スタッフは患者様がレントゲンを撮るときに、ちょっとした気配りをするなど、優しいですね。したがって、日々の仕事の中ではあまり注意することもありません。専門的な研修などは今後の課題です。
◆ 増患対策について、どのようなことをなされていますか。
やはり専門性を打ち出して、ホームページを充実させたり、近隣の開業医の先生方に認知していただくことが大事なのではないでしょうか。当たり前のことですが、一人一人の患者様を大切にして、患者様から口コミで御紹介いただくように努力しています。池袋という場所からか、20代から40代の若い患者様が多いので、待合室に多数の漫画を置いて、楽しんでいただいています。看護スタッフを1人から4人に増やしたのも、採血、肺機能など予定検査がある患者様は先に検査させていただきたかったからです。予約優先制度を採用し、同じ時間帯に多数の患者様の来院をなるべく避ける工夫もしています。
◆ 開業に向けてのアドバイス
新規開業では専門性が重要です。私どもの患者様の90%以上は呼吸器疾患です。遠方から来てくださる患者様のみならず、近隣のクリニックからの紹介をいただくことからも専門性を明確にされた方がいいでしょう。
タイムスケジュール
クリニック平面図
クリニック概要
池袋大谷クリニック |
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院長 | 大谷 義夫 | |
住所 | 〒171-0021 東京都豊島区西池袋 1-39-4 第一大谷ビル1F |
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医療設備 | 電子カルテ、レントゲン、心電図、ホルター心電図、肺機能、アプノモニター、禁煙外来COモニター、超音波骨塩定量、聴力検査のオージオメーター | |
スタッフ | 7人(院長、看護師4人、受付2人) | |
物件形態 | ビル診 | |
のべ面積 | 約17坪 | |
敷地面積 | 約17坪 | |
開業資金 | 2000万円 | |
外来患者/日の変遷 | 開業当初(15)名→3カ月後(25)名→6カ月後(35)名→現在(60)名 | |
URL | http://otani-clinic.com/index.html |
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