「日々研修医」の気持ちを忘れず、切磋琢磨する。
寺田 正 院長プロフィール
1963年、東京生まれ。1989年に日本大学医学部を卒業し、日本大学駿河台病院の内科に所属する。その後、日本大学医学部附属板橋病院第三内科、東京都保健医療公社東部地域病院内科を経て、1996年に寺田医院を開院し、院長に就任する。日本大学板橋病院内視鏡室非常勤講師、昭和大学医学部講師、東京医大地域医療指導教授、東邦大学医学部講師を兼任する。日本内科学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓病学会専門医、日本医師会認定産業医など。
寺田医院のある羽根木は世田谷区の北東部に位置し、町の東辺に環状七号線、南辺を京王井の頭線が通っている。クリニックは京王線代田橋駅から徒歩4分の和田堀給水所に面した場所に建つ。周囲は病気に対する患者さんの意識が高いので、クリニック同士が切磋琢磨するような医療環境となっている。寺田医院はそのような地域で、内科、消化器科、皮膚科、アレルギー科の診察に対応し、全ての患者さんに安心と納得の医療を提供できるよう、日々努めている。
寺田正院長は地区の医師が参加する勉強会を主催し、常に新しい知識を吸収する努力を惜しまない。「開業医は利益を上げることだけでなく、常に勉強をしていく姿勢が大切」と語る院長にお話を伺った。
開業前後
寺田正院長の父親は内科の開業医だった。小さい頃から父親の白衣姿を見て育ったため、自然と同じ道を選んだという。祖父が裁判官を務めるなど、寺田家は代々、司法職に就いてきたが、父親の代で初めて医者となる。
「父はずっと勤務医を続ける予定だったそうです。支援してくださる方もいらして、しかし家庭を持ち、世田谷に移り住んでから地域の方たちの要望があり、また、この地で開業したと聞いています」
寺田院長も将来開業することを視野に入れ、内科医を目指した。
「手技が好きだったので、エコーや胃カメラ、大腸ファイバーなどの技術が身に付く消化器内科を選びました。大学では肝臓がんの血管内治療などを任されていましたし、大学病院で何年か経験を積んだ後は、一般病院で内科や小児科、整形外科的なことをしっかり学ぶつもりでいました。ところが、東部地域病院で勤務を始めて2年後の1994年、父が突然、脳卒中で倒れたんです。そこで、父の医院を継承するために一念発起して、老朽化した建物を建て直し、開業することになりました」
寺田院長の奥様は、当時大学病院の皮膚科に勤めていたが、リニューアルをきっかけに、副院長として一緒に開業をすることになった。
「そのときに相談をした先輩の先生に『サービスの一つとして、理学療法的なこともいいのではないか』というアドバイスを受け、理学療法の機器を揃え理学療法室をつくったのです。先輩がスタッフまで紹介してくれて、父が一人でやっていたときに比べると、診療の面でもマンパワーの面でも規模が拡大し、医院の運営は比較的早く軌道に乗りました」
建物は鉄筋コンクリート製の3階建てで、1階部分がクリニックとなっている。内装は内科がブルー、皮膚科がグリーンを基調とし、患者さんがリラックスして受診できるような雰囲気づくりに努めている。
「e-doctorで連載を持たれている神津仁先生が始められた『世田谷区若手医師の会』が当時、勉強会を催していました。その中で様々なクリニックを訪問し、その医院のコンセプトや経営方針などを聞く会があったのですが、そこで多くの医院を巡ったことが建物の設計や開業に当たって、非常に参考になりましたね」
リニューアルしたときのPR方法としては、広範囲に新聞の折込広告を実施し、内覧会も行った。
「立て直すのに1年ほどかかりましたので、それが地域住民の方にクリニックが新しくなるということを知っていただく、一番の宣伝になったのではと思います(笑)」
クリニックの内容・経営方針
寺田医院は現在、内科、消化器科、皮膚科など幅広い診療に対応し、経鼻内視鏡検査や生活習慣病、健康診断に力を入れている。その中で皮膚科が同じ医院にあることのメリットを尋ねてみた。
「内科的な病気から皮膚疾患が起こっているケースなどは、お互いに相談できるのがいいですね。また一度、皮膚科でかかった患者さんも内科があることを知って、その後、内科疾患があるときに来院するという相乗効果もあります。一方で、他の内科の先生が皮膚科の専門医を紹介しようと思っても、内科が一緒にあるということで患者さんをとられてしまうと警戒されることがあります。それゆえなのか、近くの内科の先生から私どもの皮膚科に患者さんが送られてくるケースはあまり多くはないですね。紹介してくださることもありますが、そういうときは内科的疾患については、元の先生のところに必ずお返しするというルールを守るようにしています」
寺田医院ではこのほか、がんの末期患者さんや胃婁の管理が必要な患者さんの訪問診療も行っている。
「大学病院でがんの末期の患者さんを看取ってきましたが、当時から病院で亡くなるのが全てではないと思っていました。在宅での療養を希望していて、家族の受け入れ体制があれば、家で看取ってさしあげるのも一つのいい方法だし、協力したいと考えたんです。ただ、がんの末期の方は万が一のときにすぐ駆けつけられる範囲内でしか対応できません。急変リスクが高くない慢性疾患の方には若干広い範囲で往診を行っています」
胃内視鏡を鼻から挿入し、身体への負担が少ない経鼻内視鏡については、近隣エリア以外の地区から訪れる患者さんもいるという。
「経鼻内視鏡はホームページを見ていらっしゃる方が結構いらっしゃいます。ホームページは最初、自分で簡単なものを作っていたのですが、専門の方にリニューアルしてもらってから、アクセス数が飛躍的に伸びました」
治療方針としては「和と協調の心をもって、地域医療の発展に努める」、「専門性を極め、かつ診療所間の連絡を密にとり、地域に根ざした医療を行う」、「在宅医療を通じ、地域医療に貢献する」という3つのポリシーを掲げ、日々の診療に当たっている。
地域の医療環境
患者さんは慢性疾患の人が多く、退職した男性と主婦が圧倒的多数を占める。周辺の地区は患者さんの意識が高く、日頃から勉強していないと長い間、信頼して通ってもらうことが難しいという。
「この辺りは営業重視ではなく、診察を本当に大切にされている先生が多いので、患者さんにとっても、とてもいい地区だと思います。先生同士が互いに切磋琢磨しなくてはという意識を常に持てる地域ですね」
そのため地区の医師が集まって、「羽根木の会」という勉強会を定期的に催している。始めてから数年が経つが、メンバーの参加率も非常に高い。
「こういう会では、講師の先生に当たり障りのないことを聞いて終わるケースも多いのですが、ディスカッションも真剣で本物の勉強会という雰囲気がありますね。会の前には必ず関連した分野の予習をしてから出かけるようにしています。これまで参加した勉強会のメモも全てファイルに入れて整理してあります。おかげで、開業した当時の自分と今の自分では明らかに進化して、診療の幅が広がったと思いますね。やはり開業医は常に勉強をしていく姿勢が大切だと思います」
院長のプライベート
身体を動かすことが好きで、テニスクラブやジムに毎週通っています。全日本医師テニストーナメントの年齢別大会やシグマスポーツの男子シングルスで、何度か優勝したこともあります。
開業に向けてのアドバイス
まずは、初心を常に忘れないという事です。内科というよりは、総合診療科というスタンスで取り組んでおりますが、自分で診られる範囲と他科に委ねるものをきちんと分けるようにしております。新規開業だと、特に資金面での苦労があると思いますが、焦らず、きちんとした仕事を心がけるようにすれば、患者さんはついてきてくれます。資金計画をしっかり立てて、頑張っていただきたいですね。
患者さんから見た寺田院長
長年、患者として寺田院長と付き合いのある炭火焼店「ハッチとノラ」の渡辺厚水店長が院長の人となりについて、語ってくれた。
【寺田医院にかかりつけ医者としてどのくらいのお付き合いか?】
正先生のお父さんが開業していた頃から診察をしてもらっていて、先生が中学か高校生の頃からの知り合いです。非常に好青年でしたし、医者になってからもおごり高ぶったところが全くありませんね。店に来るお客さんも、正先生と奥様の都子先生に診てもらった方は「納得のできる治療が受けられて、とてもよかった」とおっしゃいます。ですから、お客さんに「医者を紹介して欲しい」と言われたら、まずは正先生を紹介するようにしています。
【寺田先生のよいところは?】
都子先生もそうですが、お店では子どもたちにとても人気があって、皆お二人が大好きです。クリニックでは患者さんに対し、非常に丁寧に接していらっしゃるようです。私も正先生にセカンド・オピニオンを求めたことがありますが、他の先生とは異なる角度から治療方法を提案し、丁寧に説明してくださいました。正先生は、別の診断をただ批判するのではなく、それを「もっとよくしよう」という気概を持っていると思います。
【寺田先生に期待することとは?】
神津先生が作られた「世田谷区若手医師の会」は、それぞれの医者が患者さんを抱え込まず、どんどん紹介しあっています。世田谷区の医療は東京の中でも特に進歩的だと思いますので、寺田先生にはそれを継続していっていただきたいですね。あとは今と同様、話しているとその日一日、楽しい気分になれるような人であり続けてほしいと思っています。
【取材協力】
本格炭火焼肉 新しいNIKU料理「ハッチとノラ」
住所:東京都世田谷区北沢1-43-14
TEL:03-3466-0282
タイムスケジュール
クリニック平面図
クリニック概要
医療法人社団杏静会 寺田医院 |
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院長 | 寺田 正 氏 | |
住所 | 〒156-0042 東京都世田谷区羽根木2-17-11 |
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医療設備 | X線撮影システム、心電図、超音波装置、生体モニター装置、細径経鼻内視鏡、大腸内視鏡システム、超音波ネブライザー、画像ファイリング装置、電子カルテ | |
物件形態 | 戸建 | |
延べ床面積 | 90坪 | |
開業資金 | 約3,000万円 | |
URL | http://www.terada-clinic.jp/pc/ |
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